やまがた農新時代

第2部・冬と雪(6) 燃料高(上)

2014年03月21日
暖かなハウス内に真っ赤な実が連なる観光イチゴ園。高騰する燃料価格が経営を圧迫している=寒河江市八鍬
暖かなハウス内に真っ赤な実が連なる観光イチゴ園。高騰する燃料価格が経営を圧迫している=寒河江市八鍬
 周年観光農業に取り組む寒河江市で、冬に楽しめるのが「イチゴ狩り」だ。

■にぎわう園内
 市内には観光果樹園が2カ所にある。2月の最終日、同市八鍬の「いちごガーデン」を訪ねた。周囲を深い雪に覆われた鉄骨ハウスの中では、授粉用のミツバチが飛び回っていた。腰高の栽培ベンチには大粒の真っ赤な実が収穫されるのを待っていた。開園期間は12月か翌年1月から5月まで。週末になると旅行客でにぎわい、最近は海外からのツアー客も多い。しかし、経営する高橋庄次郎さん(59)は「ギリギリのところで続けている状況です」と語った。高騰する重油や灯油の費用が経営に重くのし掛かっている。

 ブドウやリンゴ、西洋ナシを手掛ける果樹専業農家だった高橋さんに転機が訪れたのは1994年。園地の一部を工業団地造成で売却することになった。高校を卒業し就農した時から「40歳になったら農業だけでやっていく」と決めていた。国の制度を活用して冬の農業への挑戦を決意。周囲はサクランボの加温栽培を始めていたため「どうせやるなら人と違うことを」と観光イチゴ園を97年2月にオープンした。

 イチゴ栽培で重要なのはハウス内に春の陽気を再現することだ。高橋さんによると、イチゴに心地よいと感じさせるためには、夜間8度以上に保ち、朝から一気に28度までハウス内の温度を上げる方法が良いという。「だが燃料が高過ぎて今の状況ではそれができない」

■3倍近い価格
 高橋さんの燃料の購入記録には、2002年12月の1リットル当たりの灯油価格は36円、重油32円とある。それが07年には灯油92円、重油は86円まで跳ね上がった。その後いったん下がったものの、10年から再び上昇に転じ13年12月の灯油は92円、重油は87円に。最も低い時の3倍に迫る。

 300坪と180坪のハウス計3棟で、暖房機を5台使っている。02年ごろの重油・灯油の使用量は1シーズン計3万~3万5千リットル。07年の高騰を機に、午前中に室温を一気に上昇させるのではなく、じわじわと上げる省エネ策を講じている。今シーズンの使用量は2万3千リットルに抑えられると見通す。

 それでも「燃料代が100円を超える状況が続けば、観光イチゴ狩りをやめて、産直施設などでの販売に切り替えることも考えなければならない」と語る。最多で1シーズン6千人だった入場者は、近年は4千人程度。冬場の1カ月間で大人が600人入場したとして、売り上げは約100万円。燃料代は1カ月約50万円で、肥料代や電気代を除けば、ほとんど手元には残らない。「老朽化で修繕費もかさむ」と漏らす。

■脱石油は困難
 高騰分の補填(ほてん)資金を、生産者と国で積み立てる燃油価格高騰緊急対策のセーフティーネットはある。例えば、重油について過去の平均価格(76.7円)の150%(115.1円)までの高騰に備える場合、2万リットルを使う想定で約27万円を準備しなければならず「負担は大きい」。石油に依存しない方法としてヒートポンプや木質バイオマスボイラーがあるが「何年続けるか分からない状況では、コストが高過ぎる」と導入には否定的だ。

 現在、農業に使う軽油は申請すれば軽油引取税が免税され、重油は石油石炭税が免除されている。高橋さんは「重油や灯油などは山形で冬の農業をするためには絶対に必要で、暖かい地域よりも使用量は多い。国、県など自治体には、雪国の農家に燃料費を補助する仕組みを検討してもらいたい」とさらなる支援を訴える。
(「やまがた農新時代」取材班)
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