やまがた農新時代

第4部・6次産業化(4) 農業生産法人「米シスト庄内」(庄内町)

2014年07月23日
6次産業化への思いを語る(左から)国本琢也さん、佐藤優人さん、斎藤尚さん。手前は「かりんと百米」=庄内町・米シスト庄内
6次産業化への思いを語る(左から)国本琢也さん、佐藤優人さん、斎藤尚さん。手前は「かりんと百米」=庄内町・米シスト庄内
 小麦粉を使わずに作るのが困難とされたかりんとう。コメの生産から加工、販売まで手掛ける庄内町の農業生産法人「米シスト庄内」は、小麦粉を一切使わない米粉かりんとう「かりんと百米(ひゃくべい)」を開発し、成功を収めた。ヒットの背景には、食用米販売に頼る経営から“脱皮”し、加工を軸に新たな経営の可能性を探る若手農家たちの奮闘があった。

 ■魅力詰め込む
 「カリッとした食感と、口の中に広がる香ばしさがいいでしょう」。営業・広報部統括の佐藤優人さん(25)はそう言うと、かりんと百米の特徴や製法を紹介してくれた。原料は自社産特別栽培米の米粉。素揚げしたコメを生地に練り込み、米ぬかから絞った油で揚げる。「サラダ油独特の雑味がない上、米粉の油吸収率は小麦粉より約2割少ない。健康に気を付けている人にもお勧め」とアピールする。

 名称の「百米」には、「百%庄内米」「百%米ぬか油」「百点米菓子」の意味が込められており、パッケージのデザインは米袋をイメージした。優人さんは「自分たちが胸を張って生産した庄内米の魅力を、いろんな角度から詰め込んだ。プロのコメ農家が作るかりんとうだからこその、細かなこだわりをたくさん重ねている」と話す。

 ■不安定さから
 米シスト庄内は1998年、コメの直販を模索する旧余目町(現庄内町)栄地区の農家8人が中心となり設立した。オリジナルブランド米「めだかのお米」を看板商品としており、メダカが泳ぎ回るきれいな水と自然の中で育ったコメ―というイメージからネーミングした。

 同社が米粉かりんとうの開発を始めたのは2011年11月。市場での新規性に目を付けた社長の佐藤彰一さん(59)が、長男優人さんに開発を一任したことがきっかけだ。

 優人さんは「食用米は価格が変動しやすい。だから食用米販売にのみ頼った経営に不安定さを感じ、社長にことあるごとに加工品まで手掛ける6次産業化を説いた。そんなに言うならと、開発を任された」と笑う。

 その後、市場動向を調査し、商品の可能性を確信。米粉食品の需要が高い30~50代女性に照準を定めることにした。かりんとうの堅さ、太さ、味などを社員同士で検討したり、取引先を対象にサンプリング調査するなどの繰り返しで、試作品は約430に上った。

 開発担当で工場長の国本琢也さん(27)は「生地が安定せず、製品になりそうなものが作れないなど苦労の連続だった。でも世の中にないものを作っているという実感があり、楽しかった」と振り返る。

 ■コメの可能性
 約半年に及ぶ試作の末、かりんと百米は12年4月に県内デビュー。4カ月間で約2万個を売り上げ、満を持して県外販売も始めた。味は現在5種類(黒糖、白糖、エビ塩、ゴマ、庄内青きな粉)だが、来月中旬からは「ピーナツ」「庄内野菜」の2種類を新たに販売する予定。工場主任の斎藤尚さん(25)は「かりんと百米に次ぐ、新たな加工品も開発したい」と意気込む。

 かりんと百米の13年度の売上高は約2500万円。11年度、全売上高のうち加工品が占める割合はわずか2%だったが、13年度は10%に伸びた。

 「作れるものを売るのではなく、売れるものを作る。それは片手間では無理」と話す優人さん。「コメの可能性を最大限まで引き出し、『稼げない』という農業のイメージを変えたい」と語った。

(「やまがた農新時代」取材班)
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