やまがた農新時代

第5部・飼料用米の可能性(9) 県の「プラス150」運動

2014年09月29日
県の多収栽培実証田で飼料用米の成長を確認する生産者の加藤陽介さん(右)と県の担当者=9月11日、舟形町
県の多収栽培実証田で飼料用米の成長を確認する生産者の加藤陽介さん(右)と県の担当者=9月11日、舟形町
 飼料用米への転作補助金に2014年産から「数量払い」が導入された。収量に応じて10アール当たり5万5千円から10万5千円まで変動する。稲作農家の生産意識を高める狙いだが、飼料用米は主食用米よりも条件が悪い土地で栽培される傾向があり、従来の「定額払い」の8万円を下回ることも予想される。そこで県は追肥などを工夫し、基準収量を150キロ上回り、補助金の上限を目指す「プラス150運動」を展開し、県内4カ所の田で多収栽培の実証を続けている。

■ハードル高く
 基準収量は市町村によって異なる。例えば小国町では10アール当たり513キロ、中山町では647キロと幅がある。同じ自治体内でも平野部と山間部で異なる場合や、生産者単位で設定しているケースがある。今年からは転作補助金を受け取る条件に農産物検査機関による数量確認が加わった。村山地方のある生産者は「黙って8万円がもらえていたが、ハードルが上がった」と苦笑いする。県によると、収量は田や生産者によってばらつきが大きく、県の農林関係者は「しっかり管理しなければ金額が下限となる場合がある」と危惧する。

 県が県内4地域に設けた実証田では、主食用米の「はえぬき」を1カ所で、多収性専用品種「ふくひびき」を3カ所で植えている。機械を使った田植えだけでなく、作業軽減を目的に種のじかまきも試している。乾燥費の軽減のため、収穫を遅らせ、田で乾燥させる「立毛乾燥」も推奨する。それぞれ基準収量の150キロ以上の10アール当たり750~850キロを収穫目標に掲げる。

■追肥ポイント
 収量増のポイントの一つに挙げられるのが追肥だ。主食用米では田植え前の元肥(もとごえ)に加え、穂が出る20~25日前に追肥を1回施す。一方、多収穫を目的とした実証田(庄内以外)では、元肥のほか、出穂前に「穂肥(ほごえ)」を2回、出穂5日後を目安に「実肥(みごえ)」を1回するよう指導している。 舟形町で実証に携わる稲作農家加藤陽介さん(36)=富田=は約3ヘクタールで飼料用米を栽培して6年目。「補助金が数量払いに変わったのならば、それに合わせて量を取る方法を模索しなければならない」と表情を引き締める。県のアドバイスを受けながら昨年以上の多収を目指してきた結果、「実証田では基準収量(約600キロ)を上回り、目標の760キロをクリアできそうだ」と自信をのぞかせた。刈り取りは10月20日ごろを予定している。

■需要は伸びる
 飼料用米生産者の多くから聞こえてくるのは「基準収量を150キロ超えるには専用品種の種もみ量確保が必要」との声だ。14年産は全国的に専用品種の種もみが不足し、県内の飼料用米の作付けのうち、専用品種は6割程度とみられている。主食用への異品種混入を避けるため、専用品種を選ばない農家もいるが、収量が増えるだけでなく専用品種の使用で交付金を受けられるため、需要は今後も伸びることが予想される。

 専用品種には「ふくびひき」や「べこごのみ」「べこあおば」などのほかに、知事の申請に基づき地方農政局が認める特認品種がある。県は多収性の「山形22号」ともち米「山形糯(もち)110号」の認定を昨年度に受け、15年産用に山形22号の種子100ヘクタール分を緊急増産している。県産米ブランド推進課の卯月恒安課長補佐(53)は「16年産からは希望する全農家が専用品種で栽培が可能な状況にしたい」と話す。

 飼料用米栽培を指導する県農業技術環境課の中野憲司作物技術専門員(49)は「全県に当てはまるマニュアルはない。各地の実証内容と結果を示しながら、それぞれの地域や生産者に合った飼料用米の栽培方法を見つけてもらいたい。県はしっかりとそのお手伝いをしていく」と語った。(「やまがた農新時代」取材班)=第5部おわり
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