やまがた農新時代

第6部・環境保全型農業(2) 庄内協同ファーム(鶴岡)

2014年11月18日
産直交流会で稲刈りを体験する首都圏の生協組合員ら。庄内協同ファームは有機農業の取り組みを理解してもらう努力を続けている=今年9月、三川町東沼
産直交流会で稲刈りを体験する首都圏の生協組合員ら。庄内協同ファームは有機農業の取り組みを理解してもらう努力を続けている=今年9月、三川町東沼
 農薬や化学肥料に頼らない、環境と調和した農業に挑戦している鶴岡市の「庄内協同ファーム」(小野寺喜作代表理事)は、2000年に有機JAS認証制度がスタートすると、すぐに認証を取得した。03年にはJA庄内たがわ(同市)と産直ネットワークを設立。首都圏の消費者に有機米を届けるだけでなく、産地交流会を開き、田植えや稲刈りなど庄内の有機農業を体感してもらっている。

■減反に危機感
 鶴岡、三川、庄内1市2町の生産者42人で組織する庄内協同ファームは、稲作を中心に野菜、果物、農産加工品の複合経営。学習組織「庄内農民レポート」がその前身で、減反政策に危機感を抱いた若手農家7人が1974(昭和49)年に設立した。89年には法人化し、現在の姿になった。

 同ファームが有機JAS認証を県内で先駆けて取得した背景には、90年に始まった首都圏の生協との産直取引がある。当時、表示の規制がないまま「有機」「オーガニック」をうたった商品が数多く流通し、消費者の商品選択に支障が生じていた。同ファームは消費者との交流を重ねる中で、食の安全性や環境に対する関心の高さに共感。有機農業へと転換するきっかけになった。

■自然の力利用
 有機農業は試行錯誤の連続だった。収量は一般栽培の5割減という厳しい時もあった。しかし、生産する農産物や加工品は消費者のニーズに沿っており、栽培方法を理解し、買い支えてもらうことができた。

 こうした中で同ファームがたどり着いたのが、自然の力を最大限に利用するという考え方。具体的には、化学肥料を使わない堆肥や自家製発酵肥料を活用した土づくりと、農薬に頼らない農法だ。

 有機米栽培で最も問題となる除草対策では、田んぼに放したカモに雑草や害虫を食べさせるカモ除草や、機械による除草、水田に紙を敷き詰めながら苗を植える紙マルチ栽培など、各生産者が圃場に合った方法を選んでおり、これらのいくつかを組み合わせるパターンもある。

 代表理事の小野寺さんは「水田でコイを飼ったり、米ぬかを使ったりしたこともあるが、コイはサギが来たとたん動かなくなり、米ぬか除草は稲がまっ黄色になり、うまくいかなかった」と笑う。

■安全と味追求
 同ファームはその後、首都圏の生協との有機米取引の増加に伴い、JA庄内たがわと「庄内産直ネットワーク」を設立した。まとまった生産量が確保できるこの連携は大きな販売力につながり、2013年度の有機米の栽培面積は同ネットワーク設立当初の約22ヘクタールから約3倍の約60ヘクタールに拡大。有機米は安定した人気を誇り、農家の所得向上と後継者確保につながった。

 同ネットワークは、環境と調和した自然共生型農業に意欲的に取り組む団体などを表彰する14年度「エコエリアやまがた推進コンクール」の最優秀賞(県知事賞)に選ばれた。

 小野寺さんは「長年の取り組みが評価されうれしい。栽培面積や収穫量はまだまだ少ないが、有機農業への理解は明らかに広がっている。庄内の豊かな自然環境を大切にし、安全とおいしさを求めた生産活動を今後も続けたい」と語った。
(「やまがた農新時代」取材班)
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