やまがた農新時代

第6部・環境保全型農業(3) 元泉地域農地・水・環境保全組織(河北)

2014年11月19日
「めだかの学校」の本校舎でメダカを探す地元の子どもたち。メダカがすめる環境に配慮した活動が地区全体で行われている=河北町
「めだかの学校」の本校舎でメダカを探す地元の子どもたち。メダカがすめる環境に配慮した活動が地区全体で行われている=河北町
 次世代に豊かな地域資源を残すため、さまざまな環境保全整備活動を展開している河北町元泉地区。在来メダカが生息する田んぼ「めだかの学校」の環境学習やブランド米作り、農地の生産履歴などを記録管理するシステム導入など独自の取り組みを進める。地域の持続性、自立的発展を目指した活動は県内外から高い注目を集める。

本校舎や分校
 この取り組みは、子どもたちが田んぼの環境に興味を示さなくなったことに、地元住民が危機感を抱いたことがきっかけで始まった。町内に生息し「環境のバロメーター」とも言われるメダカを何とか自然教育として取り入れたいと2007年、元泉地域農地・水・環境保全組織を結成した。翌年、野生メダカ30匹を譲り受け「めだかの学校」の“本校舎”(8アール)が開校した。メダカは見る見る増え、同時にトンボ、クモなど多様な生物が観察できるようになった。東と西校舎(計40アール)ができ、町内の小学校に“分校”として広がり、子どもたちがメダカを通した自然環境学習に取り組めるようになった。

 メダカがすめる環境に配慮し、同地区では化学肥料・農薬を5割以上抑えた特別栽培米「めだか放流米」作りも始まった。めだか米は口コミで人気を集めている。めだかの学校で“校長先生”を務める農家奥山喜男さん(62)は「メダカがすめるほどきれいな水で栽培した農作物としてのブランドを確立し、収量が上がれば、地域の産業が生まれ、地元の活性化につながるのではないか」と語る。「多くの消費者に食べて、評価し認めてもらうことがブランドにつながり、価格はその後ろに付いてくる。コメ価格が下がり続ける中で、差別化を図ることが重要」と力を込める。

田畑のカルテ
 めだかの学校をきっかけに育まれた地域資源を次世代に残していくため、12年度から農村工学研究所(茨城県)の協力で始めたのが「美田伝承システム」の導入だった。同組織会長の奥山仁六さん(74)は「資源は管理されて初めて資源といえる」と強調する。システムでは栽培品種、使用した農薬、水質、生き物の生息状況まで細かく登録。元泉地区の田畑約105ヘクタールの“カルテ”が記録され、地域住民が閲覧できるようになっている。

 「小規模農家が減り、大規模農家が増え、生産性が重視される時代。農家と非農家、農村は共存共栄しなければ生き残れない。システムは行政に任せず、地域住民自らが管理し、地域資源を共有するための手段」と仁六さんは言う。

生まれた交流
 一方で他地区と同様に少子高齢化の波が押し寄せる。子どもの数は減り、元泉地区全体で小学生は7人のみ。地区存続のために地区外との交流が欠かせなくなっている中、町内に交流の輪が広がり、支援組織「おやきまき会」が誕生した。町内の家族が年5回程度、めだかの学校の稲刈り、地元産大豆を使ったみそ作りなどに参加している。仁六さんは「作物は交流を生み出す。自然の豊かさ、おいしく安全な作物を発信していきたい」と話す。「田んぼは単なる食料の生産基地ではなく、守りながら継承することが必要。次世代に地域資源をバトンタッチすることは、昔の豊かな自然環境を知っているわれわれ世代にしかできないことだ」
(「やまがた農新時代」取材班)
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