やまがた農新時代

第6部・環境保全型農業(6) 大江トマト倶楽部

2014年11月23日
12月ごろまで出荷が続く伊藤和子さんのハウス。出荷終盤になると葉を摘み、病害虫や実割れの発生を防いでいる=大江町
12月ごろまで出荷が続く伊藤和子さんのハウス。出荷終盤になると葉を摘み、病害虫や実割れの発生を防いでいる=大江町
 大江町と寒河江市の農家11人でつくる「大江トマト倶楽部(くらぶ)」(同町)は、6~11月に出荷する夏秋トマトを栽培している。生産者全員が、県の認定「エコファーマー」の資格を持つ団体として13年前、県内で初めて誕生した。環境に配慮しながら、有機肥料を用いた土づくりと減農薬で栽培し、消費者の声を反映した農業を実践している。

■土づくり徹底
 倶楽部はJAさがえ西村山を通して、1998年度から関東の生協に値決め販売し、全国の消費者に届けている。市場とは異なり、シーズンを通して価格は安定しているが、出荷条件は厳しい。生協の独自基準に基づき、農薬は安全性が高いものに限られ、連作障害の回避に必要な土壌消毒も行わない。

 そのため徹底した土づくりが求められ、有機肥料としてもみ殻を使ったたい肥などを用いている。水と液肥を必要最小限与える灌水(かんすい)同時施肥栽培で環境への負荷を抑え、効率性も重視。ハウス内は病害虫の発生を防ぐため温度と湿度を適正に保つ扇風機を取り入れ、農薬使用を控えている。着色基準表を基に、出荷ぎりぎりまで実らせ、消費者においしさを届けてきた。

 毎年、首都圏から消費者らが生産現場に視察に訪れていることが部員たちの“刺激”にもなっている。菊地良浩さん(53)は「苦労して作っている現場を直接目で見て、納得してもらうことで本当の味が分かる。人とのつながりを通して、倶楽部の良さが伝わる」と力を込める。

■出荷量が減少
 発足から10年以上たち、課題も出てきた。年間出荷量は、120トンをピークに現在は90トンと減っている。10アールあたり10トンが目標だが達成は難しくなっているのが現状。連作による土壌の変化に加え、ここ数年の予想できない気候変化も追い打ちをかける。昨年は豪雨災害でハウスが水に漬かる被害も出た。最近では6月でも真夏のような猛暑となることが多く、受粉時期にハチの動きが鈍くなり、実の付きが悪くなるなどの影響が出てきている。

 さらに「生協の会員減少に加え、トマトの消費量も年々落ちてきている」と倶楽部代表の井上治さん(56)。核家族化が進み、これまで1キロ単位で出荷していたが、今は500グラムが売れる時代。部員たちは「資材代がかかる一方で、節約するところがなく、手をかけるほど赤字になる」と口をそろえる。井上代表は「気候の変化に対応し、技術を磨き、単収アップすることが求められている。全国の競合相手が少ない9~11月に出荷を増やせれば」と今後を見据える。

■平均年齢40歳
 倶楽部の平均年齢はおよそ40歳と若い。メンバーの多くはもともと、新規就農からスタートしており、農業を始めたばかりの人でも安定した生産ができる体制を確立してきた。町内の農家でアルバイトしたことをきっかけに、トマトに関心を持ち、今年から栽培を始めた菊地亮太さん(29)は「先輩たちの指導があったからこそ、初心者でも一から始めることができた。追いつけるように栽培技術を高めていきたい」という。来年も新たな仲間が加わる予定で、環境を大切にし、消費者の信頼を得るために培われてきた技術が後継者に受け継がれている。(「やまがた農新時代」取材班)

◆エコファーマー たい肥などで土づくりをし、化学肥料・化学農薬の使用をおおむね2、3割減らす生産方式の導入計画を立て、知事から認定を受けた農家。コメやリンゴ、サクランボ、ホウレンソウ、アスパラガスなど66品目が対象。
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