やまがた農新時代

第6部・環境保全型農業(7) 全国有機農法連絡会(天童)

2014年11月24日
県内外の有機野菜を各地の食卓に届ける全国有機農法連絡会。米山正代表(右)は「利用者からの『おいしい』の声が張り合いになる」と話す=天童市
県内外の有機野菜を各地の食卓に届ける全国有機農法連絡会。米山正代表(右)は「利用者からの『おいしい』の声が張り合いになる」と話す=天童市
 全国有機農法連絡会(天童市矢野目)は約30年間、有機栽培や減農薬栽培の野菜、果物を山形から全国の食卓に届けている。11月中旬、社屋を訪ねると、エプロン姿の女性スタッフが寒河江市産のサトイモや鶴岡市産サツマイモを手際良く段ボールに詰めていた。代表の米山正さん(73)は河北町産ネギを手に取ると、会員家族の喜ぶ顔を思い浮かべた。「太くておいしそうだ。今の時期は鍋にいいだろうね」

事故きっかけ
 埼玉県に住んでいた米山さんが有機農産物の宅配事業を始めるきっかけは、医師からのアドバイスだった。働き盛りの40代前半に交通事故に遭った。体調はなかなか回復せず、ある日、医師から言われた。「体を治したいのなら、良い水を飲みなさい。そして、なるべく農薬が使われていない物を食べなさい」

 米山さんは知り合いだった寒河江市の農家に野菜の無農薬栽培を頼んだ。都会では光化学スモッグが社会問題となり、環境汚染に体が悲鳴を上げる人が増えていた。残留性の強い農薬成分の人体、環境への悪影響にも関心が高まっていた。

 「自分以外にも無農薬野菜を求めている人がいるのではないか」。1984(昭和59)年、事業を起こす。埼玉や東京の団地を駆け回り、飛び込み営業を続けた。小さな赤ん坊を抱えた母親たちに、野菜を食べ比べてもらい、納得してもらった。翌年、約70世帯への宅配が始まった。

旬にこだわり
 ほどなくして会社を天童市に移した。生産者とまめに直接対話する大切さを感じたからだ。その後、寒河江市に約3ヘクタールの直営農場「山形山農場」を開設。県内だけでなく、北海道から九州まで各地の有機農業者、減農薬栽培農家らと連携し、一年を通して旬にこだわった農産物を提供する体制を整えてきた。

 現在は全国の約3千世帯が定期的にコメや野菜セットを利用している。11月中旬の「野菜セット・ミニ家族」には、県産野菜のほか、有機JAS認証のコマツナ(茨城県産)タマネギ(北海道産)ミズナ(千葉県産)、ポテトサラダなどが入った。

 総菜は姉妹会社の「安心工房」が、素材を厳選し、食品添加物を使わず手作りしている。冷凍真空パックされた総菜は高齢者だけではなく、単身赴任者や初めて一人暮らしをする大学生用の注文も多い。

 直営農場ではナスやトマトのほか、ニラや山菜のアマドコロ、ニンニクなどを有機栽培している。「うねの間隔や株の間隔を通常の倍に広げることで、風通しがよくなり、植物自体が持つ力も強くなる」という。

 有機農産物の魅力は「味がいいところ」と話す。それを証明するように多くの利用者から寄せられる「野菜嫌いな孫が、食べるようになった」「すごくおいしくて驚いた」とのメッセージに「仕事の張り合いになる」と目を細める。

農場で体験も
 直営農場には宿泊施設があり、農業体験なども受け入れている。「どのようにして安全な食べ物を作っているのか理解してもらうには、実際に体感してもらうのが一番」と米山さん。「多くの人に命や健康の基になる食べ物や環境に対してもっと関心を持ってもらいたい。そして、衣服やエネルギーなど生活全般でケミカル(化学物質)に頼らない方法を考えてほしい」と力を込めた。(「やまがた農新時代」取材班)
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