山形再興

第3部・学生の古里回帰へ 首都圏大学との連携協定(3)

2018年03月29日
U・Iターン促進に向けた課題を語る神奈川大の兼子良夫学長=神奈川大横浜キャンパス
U・Iターン促進に向けた課題を語る神奈川大の兼子良夫学長=神奈川大横浜キャンパス
 県が連携協定を結んでいる14大学の一つ、神奈川大の兼子良夫学長は大江町の出身だ。地方創生は今が正念場との思いを強くし、協定を機に学生の本県へのU・Iターンを積極的に支援している。

 その兼子学長に県内から都市への若者の流出について、大学側から見た課題と展望などを聞いた。強調したのは、親の世代が県内の優れた中小企業など本県の良さを理解する必要性だった。県内企業も就職の際の最終面接を首都圏で行うなど、より積極的に学生にアプローチするべきだと訴える。

 経済が一定の成長を終えた現在、持続可能な真の豊かさや幸福について自ら考え、行動していくことの重要も指摘。若者は多様な生き方を模索することが求められているのに、地方に帰るための情報はまだまだ不足しているのが現状だとの考えを示した。

神奈川大学長・兼子良夫氏(大江町出身)に聞く
 ―県出身者が首都圏で学んだ後、古里に戻らない要因をどう捉えているか。

 「若者は田舎の中小企業の可能性をしっかり見ている。しかし、親の理解がないように感じる。学生が中小企業を選ぼうとしても、金融機関や県庁、市役所などを勧めることが多いようだ。素晴らしい中小企業をはじめ、山形の良さを大人が理解する必要がある。米沢商工会議所は親を対象に中小企業巡りのツアーをやっていると聞く。親が『何でこんなところに』に言ってしまうような認識では、学生が戻ってこないのは当然だろう」

 ―若者への情報発信をどう考える。

 「IT、IoT(モノのインターネット)、ロボットなどが急速に発展し、今まで通り大企業が生き残れるとは限らない。そうした中で若者は、どんな会社でどんな働き方をしようかと、大人よりも柔軟に考えている。働き方にはさまざまある。そうした点から情報発信をしていくことが効果的ではないか。何より地元の豊かな環境で働くことができるというのは大きい。また、企業には採用の際、最終面接まで首都圏で行うなど、優れた学生をキャッチする気持ちでもっとアピールしてほしい。大学が開く企業説明会などへの参加もまだまだ少ない」

 ―具体的なアピールポイントは。

 「山形の人がいいなと思うことを胸を張って発信すればいい。温泉がどこにでもある、食べ物がおいしい、子育てがしやすいなど、女性に受けることをアピールするのも大事な視点。行政も頑張っていると思うが、山形の良さをもっと端的に出した方がいい。神奈川大は山形県をはじめ20県と協定を結び、各県から情報が入ってくるが、正直言って、どこも総花的で金太郎あめのようだ。左沢線は寒河江市を通るから、ずっと『サクランボライン』と思っていたが、『フルーツライン』だと聞いた。フルーツでは日本全国にあり、アピール力は今ひとつだ」

 ―話を聞くと、価値観の転換や多様性の許容がポイントのようだ。

 「経済力が最も強い東京都の出生率が全国で最も低く、逆に1人当たり県民所得の最も低い沖縄県の出生率が全国で最も高い事実をどう解釈すべきだろうか。経済学の泰斗であるジョン・スチュワート・ミルは『経済学原理』で経済が成長を終え定常状態に達したとき、経済成長を絶対的な目標としなくても、持続可能な真の豊かさや幸福を得られるのではないかと論じている。現在の日本社会はまさに何が幸福なのか、何が豊かさなのかを自分で考え、自己責任で生きていかなくてはならない時代を迎えている。世界で働くもよし、地方で働くもよし、若いうちからどういう生き方をしたいのかをより広い目で見て、考えてほしい。その際、地方に帰るための情報がやはりまだまだ不足している」
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