山形再興

第5部・高校生と共に (1)山形商・産業調査部

2018年05月19日
地域活性化に向け、さまざまなアイデアを発信している山形商業高産業調査部。「人口増大計画」は全国大会で高評価を得た=山形市
地域活性化に向け、さまざまなアイデアを発信している山形商業高産業調査部。「人口増大計画」は全国大会で高評価を得た=山形市
 同世代の誰も手掛けたことのない研究で地域を元気にしたい―。山形商業高(山形市)産業調査部が掲げるテーマだ。商店や商品に合った売れる「色」、音がもたらす経済効果など、関係者の協力を得ながら独自色の強い活動を展開。活気あふれるまちづくりへ、多彩なアイデアを発信している。

 地域をフィールドにした取り組みは高く評価され、2012年に山形市の「お宝広報大使」に任命され、市の魅力のPR役を担う。昨年11月の全国高校生徒商業研究発表大会では、企業誘致や出生率アップなどの視点で検証を重ねた研究を披露した。その名も「人口増大計画」。県勢初の最優秀賞に輝いた。

 今では「産調ガールズ」の愛称で親しまれ、実績を重ねる同部だが、意外にも活動が“本格化”したのは2010年と日が浅い。歴史と伝統を持ちながら、以前は部員ゼロと休止状態が長く続いていた。活動を再開させたのが当時、教諭として同校に赴任した伊藤広幸教頭(53)。「偶然、産業調査部の顧問を務めることになった」。これが事の始まりだった。

 山形商業高産業調査部の顧問を務める伊藤広幸教頭は、同部の活動を再開させた2010年を振り返る。当時、商業系高校の活動の様子がメディアに取り上げられる機会が少ないと感じていた。支えてくれる地域のためにも、何とか露出を増やして存在感を示したかった。自ら部員の獲得に奔走し、集まったのは1、2年生計8人。全員が女子生徒だったことから、明るいイメージを打ち出そうと「産調ガールズ」と名付けて再スタートを切った。

 研究テーマの設定や活動は生徒たちの自主性を大切にしてきた。JR東日本と連携して山形市内の観光名所を巡るツアーを10年から毎年実施。取り組みは高校の「国語表現」の教科書に掲載されるなど注目を集め、昨年は100人を超えるツアー参加者の大半をリピーターが占めた。さらに半数以上は県外からの観光客。「生徒がしっかり案内してくれるので楽しく山形の名所を見て回れる」と好評だった。

 昨年の全国高校生徒商業研究発表大会で最優秀賞に輝いた「人口増大計画」は、スケールの大きさが際立った。「人を留(とど)める」「人を集める」「人を増やす」をキーワードに仮説を立てて検証。具体的には婚姻率の低下という課題を解決するため、市内のブライダル複合施設の協力を得て、高校生向けのウエディングフェアを企画。将来の婚姻率向上へ可能性を探っている。

 これら高校生による地域活性化策の提案は、行政サイドにとって貴重な財産になっている。山形市が現在任命している「お宝広報大使」で同部は唯一の高校生。市山形ブランド推進課は「山形市を効果的に紹介してくれている。ユニークな活動で、生徒たちでなければ気付かないような目線がある」と受け止める。

 地域に軸足を置いた活動は、古里を深く知ることにつながり、地元の発展に貢献したいという生徒たちの心も育む。部長の3年野本真穂さん(17)は「山形には一つの仕事に情熱を注いでいる大人が多いことが分かった。自分は卒業後、大学進学で県外に出てしまうかもしれない。でも将来は山形に戻ってきたい」。

 伊藤教頭は笑みを浮かべながら教えてくれた。産業調査部での経験を生かしたいと、市町村職員となって働く卒業生がいる。首都圏の大学で学んでいる同部出身者の中には、本県で教員になりたいと志望する人もいる。「山商で産業調査部の顧問をしたい」と言っているそうだ。「Uターン就職で帰ってきたり、山形に定着したりする生徒が増えている。それがこの部活動の一番の成果だと思っている」

     ◇ 

 高校生を巻き込んだ地域課題解決がコミュニティー存続の手段と言われる。県内でも、その考え方を意識した試みが行われている。年間企画「山形再興」第5部は、各地で活動する高校生の思い、高校側の狙い、自治体の戦略を探る。
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