山形再興

第5部・高校生と共に (5)米沢商・商業研究部商業研究班

2018年05月23日
「駅からハイキング」で観光客に米沢市内を案内する米沢商高生。生徒にとっても地元を再認識する機会となっている
「駅からハイキング」で観光客に米沢市内を案内する米沢商高生。生徒にとっても地元を再認識する機会となっている
 米沢市の米沢商業高には一風変わった部活動がある。「商業研究部商業研究班」。現在は1~3年生合わせて35人の部員がおり、校内では吹奏楽部に次ぐ大所帯だ。

 元々は県高校生徒商業研究発表大会に向け、授業では手が回らないテーマを手掛けようと、15年ほど前に設立された部だった。現在は「地域に根差した実践活動」をモットーに、「観光」と「商品開発」の二つを柱に活動している。

 設立時から顧問を務める丸山充(まこと)教諭(47)は「『地域を幸せにしたい』というのが部の基本コンセプト」と語る。「工業高校や農業高校は“ものづくり”が大事だけど、商業高校にとって大事なのは“人を笑顔にすること”だと思う。笑顔が増えれば、地域が幸せになる」

 そうしたコンセプトに基づいて、同部は地元企業とさまざまな商品を共同開発・販売したり、JRとタイアップした「駅からハイキング」を手掛けたりしてきた。その活動は今や米沢市民だけでなく、置賜一円にも知られるところとなっている。

 イナゴとごまを生地に練り込んだ「いなごまクッキー」、ウコギを使った「うこぎチョコブッセ」、舘山りんごを生かした「りんごっちゃドレッシング」―。米沢商業高の商業研究部商業研究班=松田美優班長(17)=が開発してきたオリジナル商品は、いずれも地元ならではの食材を生かしたユニークなものばかりだ。

 こうした商品開発にはいずれも、生徒のアイデアが最大限生かされている。最終的な製品化には地元企業の助けを借りるが、試作はもちろん、原料となるウコギの摘み取りなども生徒が手掛けた。生徒が観光客を案内する「駅からハイキング(駅ハイ)」のコース設定も同様だ。

 “実践”を主とする同班の活動は社会との接点が広く、そこに魅力を感じて入部した生徒が多い。オリジナル商品を販売する「米商(よねしょ)っぷ」の店長を務める3年大久保咲彩さん(18)は「人見知り気味だったが、接客などを通じて初対面の人とも話せるようになった」、同じく佐藤さくらさん(17)は「祭りのボランティアスタッフとして参加したが、会場のごみ集めとか裏側を知ることができて勉強になった」と振り返る。

 活動を通じて、地元や自分を見る目も変わった。「駅ハイは自分の街をあらためて知る好機になった。自分たちでここまでできる、という自信もついた」と3年渡部愛由さん(17)。松田班長も「昔は正直『米沢はつまらない』と思っていたが、地元の自然や歴史を知り、観光客に米沢をほめてもらえると、自分ももっと頑張らないと、と思うようになった」と語る。

 顧問の丸山充(まこと)教諭は「卒業して置賜を離れた子からも『地元に帰りたい』という話をよく聞く。商業研究班での活動は、彼ら、彼女らのプライドになっているように感じる」と語る。

 同班が今、次のターゲットとして考えているのは、ふるさと納税と里山の環境保全活動だ。ふるさと納税は制度そのものや市民アンケートを通じた勉強からスタートし、ゆくゆくは同校のオリジナル商品を返礼品として加えてもらうのが目標。里山は豊かな自然の象徴として、将来的に外国人観光客誘致の切り札に育てたい、との思いがある。

 「地域を幸せにしたい」―。世代を超えて受け継がれるこのコンセプトを胸に、同班の活動は新たな一歩を踏み出そうとしている。
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