山形再興

第6部・スーパー公務員の力 (3)長井市・丸山邦昭さん

2018年06月27日
ながいフットパスウォークに10回参加し特製缶バッジをゲットした菅茂代さん(長井市)を祝福する丸山邦昭さん(右)=24日、同市・あやめ公園
ながいフットパスウォークに10回参加し特製缶バッジをゲットした菅茂代さん(長井市)を祝福する丸山邦昭さん(右)=24日、同市・あやめ公園
 一般財団法人置賜地域地場産業振興センターが運営するやまがた長井観光局は、長井市の観光まちづくりを担う“公的な旅行会社”だ。道の駅「川のみなと長井」を拠点に「おらん旅ながい」と銘打った滞在交流型旅行商品を次々と企画・販売し、他自治体から先進事例として注目を集める。観光局のまとめ役を務めているのは市から派遣された丸山邦昭事務局長(51)=長井市五十川=だ。

 丸山さんは1991年に市職員となり、2005年、商工観光課観光係長に就いた。その後、主査時代も含めると丸10年間、観光業務に従事することになるが、転機になったのは置賜3市5町と上山市がJR東日本とタイアップして07年に始めた「やまがた花回廊キャンペーン」だという。

 駅発着の「駅長オススメの小さな旅」の企画を担い、当初は仕事の負担感ばかりが心を占めていた。しかし、JR東日本仙台支社の社員が現地に入って熱心に動き回る姿を目の当たりにし、「地元のわれわれがもっと汗をかき、一緒に盛り上げていかなければという姿勢に変わった」と当時を振り返る。

 「ホスピタリティーに関しては長井市役所内でピカイチ」と評される丸山邦昭さん(51)は2年間の市教育委員会勤務を経て昨年4月、やまがた長井観光局派遣となった。観光の現場に戻った1年余りについて「行政は自ら観光商品をつくることができないので、市では10年間もがき続けた。今は観光局の職員、地元の方々と一緒に商品をつくり上げて販売できる。これ自体が画期的なこと」と話す。

 江戸時代に最上川舟運で栄え、商家群や蔵、水路などが残る長井市中心部は今年2月、「最上川上流域における長井の町場景観」として国の重要文化的景観に選定された。この追い風を誘客に生かそうと、丸山さんも若い職員に交じって商品づくりに励んでおり、5~6月は「アスパラ収穫体験とアスパラづくしランチ」ツアーを企画した。

 道の駅からレンタサイクルで豊田地区の畑まで出掛け、アスパラガスの収穫を体験。昼食はフランス厨房(ちゅうぼう)レストラン「ジュアン」でアスパラガスを練り込んだパスタを味わってもらう。仙台市から参加した夫婦は「自転車に乗るのは10年ぶりぐらい」と話し、お土産として持ち帰ったアスパラガスずくめの朝食を会員制交流サイト(SNS)にアップしてくれたという。

 丸山さんは、有志でつくる観光ボランティアグループ「チーム・アルクNAGAI」の一員という顔も併せ持つ。JR東日本の「駅長オススメの小さな旅」や、市主催の「ながいフットパスウォーク」の企画・運営に携わり、ガイド役も務める。

 なじみの参加者からは「マルちゃん」の愛称で親しまれており、柔和な笑顔で軽妙なトークを連発。ツアーに協力してくれた店先では、参加者に「お財布のひもは緩めてくださいね」と呼び掛ける。参加者の笑いが絶えることはなく、民間の旅行添乗員も舌を巻くようなおもてなしだ。

 小さな旅はリピーターも多く、早朝に起きて宮城県や福島県から電車を乗り継いで長井を訪ねてくれるという。「『また来たよ』と言ってくださる方の顔を思い浮かべながら、仲間と一緒に『もっと長距離のコースをつくった方がいいかな』といった工夫を重ねていくので、運営する側も楽しみが出てくる」

 小さな旅のフィナーレでは、参加者とスタッフが輪になって手をつなぎ、「長井おどり」を踊るのが定番になった。「時間がなくて、できそうにない時は、参加者から『長井おどりが一番面白いんだから、踊りましょうよ』と催促される。一体感がいいんでしょうかね」と丸山さん。

 今後の課題については「旅の原点はまち歩き。滞在型の旅行商品を、関係者とアイデアを出し合いながら丁寧につくり込み、隣接する市町の魅力をつなぎ合わせた商品もつくっていきたい」と意気込む。

 丸山さんにとって観光とは何か。「人との出会い、人と人とのつながりですね。お客さまと会話することで、自分の内面も笑顔でいられます」
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