東日本大震災

大津波被害の仙台、無残な光景 本社記者ルポ

2011年03月13日
 多くの命や家屋を津波がのみ込んだ。がれきの山とヘドロに覆われた道路がどこまでも続く。12日、200~300人が遺体で発見された仙台市の若林区や、宮城野区など津波被害の現場を本社記者がルポした。(仙台支社・松田直樹、報道部・堀川貴志、秋葉宏介、米沢支社・三浦光晴)

【若林区】
\r\n$p_unit 午前5時45分すぎ、青葉区中心部にある避難先の東北電力本店ビルを離れ、市街地を歩きだした。空が白みはじめたころ。若林区までは直線距離で10キロぐらいだろうか。歩いている人はまばら。通行車両も少ない。時折タクシーが走るが、止まってくれない。歩いていくしかない。

 JR仙台駅前を通り、真っ暗なガード下をくぐり抜けた。どれだけ歩いたろうか。ようやくタクシーを拾えた。甚大な被害が発生した若林区荒浜へ続く道と仙台東部道路が交差する場所で、警察官から制止される。タクシーを降りて状況を尋ねた。カメラを提げたヘルメット姿の自分を見て警察官は「マスコミの方ですか?」と話した後、「自己責任で…」。覚悟を決めた。

 規制線の先には、がれきが散乱していた。建物の柱、流木、冷蔵庫、おもちゃ、サッカーボール、書類…。小さな女の子の白い靴が泥にまみれている。ワゴン車が、海水で満たされた田んぼに浮かんでいる。遠くに巨大な黒煙が上がっている。行けども行けどもがれきの山だ。いつの間にか涙がにじんでいることに気付き、津波の威力をあらためて思う。

 規制線を越える際、高い場所にある仙台東部道路で待機していた消防署員や団員が、救出や捜索のため続々のり面を下りてきた。警察官や自衛官を乗せた車両も列をなして進んでいく。荒浜方面からお年寄りがよろけながら歩いてきた。自衛官が緑色の毛布を掛け、安全な場所へと誘導する。

 津波で運ばれてきた大屋根が道路をふさいでいた。生存者を探そうと、救助犬が懸命に周辺を動き回っている。男の子が自衛官に抱きかかえられて過ぎていく。

 「津波が来るようです。高い場所に避難してください!」。深く傷ついた平野に消防車のアナウンスが響いた。高い場所はない。振り返る。走る。逃げる。

【宮城野区】
\r\n$p_unit 観覧車の向こうに黒煙が立ち上る。津波に押し流された車が無残に転がっている。三井アウトレットパーク仙台港など商業施設が立ち並ぶ仙台市宮城野区の中野出花地区。オイルとヘドロの混ざったような臭いが漂い、この光景が現実なんだと突きつけてくる。

 津波の被害が甚大だとされる“仙台東部道路以東”に当たる地域。災害の傷痕が次々と視界に飛び込んでくる。崩れた小屋の骨組み。なぎ倒された街路樹。電柱は傾き、電線がぶらりと垂れ下がっている。アスファルトを覆った泥が足元にこびりつく。時折、人が訪れて肩を落とし、目の前の状況を眺めている。

 笑い声の聞こえない土曜日のショッピングセンター。上空をヘリコプターが飛び交い、消防車のサイレンが断続的に鳴り響く。石油ガス施設の火災はまだ収まらない。黒煙は空を覆うように上り続けている。
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