東北電力の計画停電、きょう15日実施せず
2011年03月15日
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東北電力は14日、東日本大震災による電力供給不足を受けて、計画停電(輪番停電)実施の検討に入ったと発表した。実施時期など具体的な方法は未定で、まとまり次第、公表するが、15日は実施しない方針。15日の管内の電力需要が現在の供給力でまかなえると判断した。 宮城県の女川原発が停止しているほか、太平洋岸の火力発電所の被害も大きく復旧に時間がかかる恐れがあり、「当面の間、電力需要に対して相当の供給力不足が見込まれる」という。15日以降も計画停電を実施するかどうか検討する。 県内企業、対応急ぐ 東北電力が計画停電の検討に入ったことや、依然として電力や燃料が不足している状況の中、県内企業の間にも、今後の対応について検討する動きが出ている。 ヘルスケア製品などを製造している山形スリーエム(東根市)は、14日に製造設備の点検などを済ませ、15日から製造を再開できる態勢を整えた。ただ、送電される電力が設備の保守などに最低限間に合う程度の容量のため、装置を稼働できるかは未定だという。 15日以降は、使える電力量ごとのシミュレーションをつくり、重要性の高い製品から優先順位をつけて稼働に備えるという。 計画停電が実施される場合も想定し、10ある製造部のうち、ギプスやサージカルテープなど災害復旧に必要な製品の製造部門を優先的に稼働させる検討も進めている。担当者は「1度停止すれば、再び立ち上げるまで時間がかかる装置もあり、停電になった場合の影響は大きい。ただ、事態は十分理解しており、要請があれば最大限協力していく」と話す。 米沢市内の電子部品など製造の会社でも、14日は通常の半分程度まで態勢を縮小し生産作業を行ったが、15日以降は物流や燃料などとの兼ね合いも見ながら稼働する予定。計画停電になった場合の影響などについての検討も開始。担当者は「製造業はどこも同じだろうが、いったん停止した生産設備を再稼働するには、調整やテストなどの時間も必要になり大変。停電にならないよう願っている」という。 さらに、電力だけではなく、燃料不足や物流といった問題も、企業の生産活動に大きな影響を与えている。 食品メーカーの日東ベスト(寒河江市)は、焼きそばなど冷凍食品の一部工場で生産ラインを稼働させたが、多くは設備の清浄作業などに追われた。機材に異常はなく15日は焼きそばやハンバーグ、牛丼の生産ラインを稼働させる予定。ただ、物流が滞っており、同社は「原材料の仕入れがままならない」と悲鳴を上げる。また、水産加工品の製造を委託する岩手県大船渡市の企業と連絡が取れない状況だという。「心配が尽きない。重油の調達も課題で、いつまで稼働できるのだろうか」と不安そうに語った。 山形市内にある食品メーカーの担当者も「電力もさることながら重油やガスがどうなるかが見えず、あすから何を生産するかは決まっていない。物流も止まりかけており、1つだけが解決してもすぐには動き出せないかもしれない」と話している。 東日本大震災 記事一覧
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