2011年03月18日
倒壊したレンタルビデオ店内で若い男性の遺体を発見し搬送する緊急消防援助隊山形県隊=17日午後4時45分、岩手県大船渡市
泣き腫らした遺族の横顔を夕日が照らす。「ありがとうございました」-。緊急消防援助隊山形県隊は17日、津波で甚大な被害を受けた岩手県大船渡市で懸命の捜索活動を続けた。この日は3人の遺体を発見。息子なのだろうか、変わり果てた姿と再会した遺族は、本県の隊員に近づき深々と頭を下げ、震えながら、しかし大きな声で感謝の気持ちを伝えた。東日本大震災発生から18日で1週間。苦難の被災地に、希望の光が差し込むのはいつの日なのだろうか。(仙台支社・松田直樹、報道部・色摩高幸)
本県全ての消防本部で組織する山形県隊は地震発生直後から大船渡市で救助活動を展開。現在は第2次隊136人が、大船渡駅周辺の住宅街などで救命・捜索活動に当たっている。
津波で流されたのだろう、住宅があちこちで横倒しになっている。耐震性に優れたようにみえるまだ新しい家も無残な姿をさらしている。流木、車、七福神の置物…。がれきの山は、発生から1週間たった今もなお至る所で見られるが、捜索車両が通れるように道路のがれきは少しずつ取り除かれている。
捜索した緊急消防援助隊山形県隊に、男性の家族が声を振り絞って礼を言い、深々と頭を下げた=17日午後4時48分
「レンタルビデオ店に取り残されている友人がいる。なんとか助け出してほしい」。情報提供を受けて、山形県隊が捜索を開始した。
大きな残骸を重機が除去していく。生存者がいないか、隊員は注意深くパワーショベルが動く先に目を光らせる。
若い男女が捜索を見守っていた。女性(29)は地震発生時、この店で働いていたという。「小さな子供が心配だったので『見てきます』と店長に断って外に出たら、津波が押し寄せてきた」。恐怖の時間を振り返る。「必死に高台に逃げたが、店長と2人の従業員が巻き込まれた。なんとか見つけ出してほしい」
午後3時47分、「発見!」の声が響いた。「20代男性の模様」。重機を止めて、慎重に手でがれきを取り除いていくが、鉄骨や膨大な残骸が立ちはだかる。再び重機を動かし、ようやく救出したが、既に息絶えていた。
父と母なのだろうか、関係者に付き添われ、ブルーシートで覆われた現場に2人が入っていった。その直後、奥から泣き叫ぶ女性の声が聞こえてくる。
この日の任務を終え、近くの拠点に帰ろうとしていた山形県隊に、遺族が近づいてきた。「本当にありがとうございました」。夕日が山と山の間に沈んでいく。その柔らかな光の中へ、肩を落とし支え合いながら、2人は歩いていく。
「生存率がゼロパーセントにならない限り、われわれはあきらめない」。山形県隊の開沼信男隊長(56)は力を込める。たとえ、命が消えていたとしても…。「家族と対面させてあげたい」