2011年03月22日
東日本大震災に伴うガソリン不足は、介護が必要な高齢者宅を回る県内の訪問介護事業にも深刻な影響を及ぼし始めている。ケアに当たるヘルパーが移動手段を確保できず、サービスの回数を減らしたり、買い物については地区の社会福祉協議会が必要品を一括購入して分配するなど対策を講じているが、このままガソリン不足が続けば「毎日の安否確認が必要な高齢者への訪問も難しくなる」との声も聞かれる。
山形市社会福祉協議会は約60人のヘルパーが市内約300人の高齢者を訪問介護でケアしている。鈴木弘一在宅サービス部門主幹兼係長は「社協が所有する乗用車20台は何とかガソリンを確保しているが、自家用車を使うヘルパーさんは自転車や徒歩に切り替えている。遠隔地は乗り合いで回っているが、効率的な巡回が難しい」と説明。結果として、掃除サービスなどは回数を減らしてもらい、調理サービスも1回の訪問で2日分を作るなど工夫しているという。
買い物サービスは、必要品を探し回ったりレジ待ちなどで、1回の買い物に2時間以上かかるケースもある。このため、ニーズを聞いた上で市社協が生活品や食料を一括購入し、時間のロスを軽減している。鈴木主幹は「卵や乳製品など、購入個数が制限される商品は確保が難しい」と話す。
21日、山形市内の高齢者宅に自転車で向かおうとしていた介護福祉士海野美知子さん(62)は、1991年から訪問介護を続ける。「この時期の(移動手段の)メーンは車。3、4軒を同時に回る場合、自転車では時間がかかって(仕事も)ままならない」と話し、「もう少しガソリンが行き渡ってほしい。それがいつになるのかお聞きしたい」と切実に訴える。ヘルパーの安食亜美さん(24)は「特に買い物サービスが厳しい。活動が掃除など家の中だけに限られてしまう」。
一方、デイサービスを手掛ける事業所では移動車や入浴、暖房用の燃料が足りず、サービスを休止する事業者も増えているという。「デイサービスが休みだと高齢者は家にいるケースが多くなり、その分訪問介護の需要が増える。手が回るのか…」と鈴木主幹は不安げだ。市社協に所属する30代の女性ヘルパーは「一人暮らしで、毎日の安否確認が必要な高齢者は相当数に上る。移動手段が確保できないことは、命にも関わる問題だ」と話していた。
県社会福祉協議会によると、県内の多くの地域でガソリン不足による介護事業への影響があるといい、既に県に対して優先的な燃料確保を講じるよう要望している。