東日本大震災

奮闘地元紙、ニュース「届ける」 地域情報に被災者「ほっと」

2011年03月28日
山形市の避難所では、震災関連の動きを詳報する山形新聞が配布され避難者に喜ばれた=17日、市総合スポーツセンター
山形市の避難所では、震災関連の動きを詳報する山形新聞が配布され避難者に喜ばれた=17日、市総合スポーツセンター
 東日本大震災は、地域に根付いた報道を続ける新聞社にも大きな打撃を与えた。停電で動かない輪転機、予期せぬトラブル。大津波で破壊された支局や販売店も。だが、それでも新聞の発行が止まることはなかった。「困っている人たちにニュースを届ける」。その思いが記者や販売員らを突き動かした。

 「あのスーパーはいつ開店するんかねえ」「知り合いは無事だっただろうか」。被災地の避難所などでは特設テレビが震災現場や原発事故の映像を生々しく伝える中、地域のライフラインや行方不明者の安否情報が詳しく載っている新聞を心待ちにする人々の姿が多く見受けられた。

 津波で大きな被害を受けた宮城県南三陸町。避難所の体育館で元漁師の佐藤源治郎さん(80)は「地元紙は毎日1時間ぐらいたっぷり時間をかけて読む。地域の情報がいっぱい載ってるからね」と笑顔。屋外には大きなテレビが設置されているが「新聞は読みたいときに読めるのがいい」。

 同県東松島市の避難所で河北新報の企画を熱心に読んでいた26歳の女性は「みんなで回し読みしている。テレビもネットもないから周りで何が起きているか分からない。新聞を見直しました」と話した。

 故郷を離れて避難所で暮らす人々にとっても、その地域の新聞や、故郷から届く地元紙が貴重な情報源となっている。

 山形市内の避難所、市総合スポーツセンターでは山形新聞が配られた。家族ら7人で避難していた福島県相馬市、会社員菅野タキ子さん(55)は「地域密着の地方紙は心強い。活字も大きくて助かる」とじっくり紙面に目を通していた。

 原発事故を受けた同県の被災者が多く避難している東京武道館(東京都足立区)。ここには午前10時ごろ、福島民報と福島民友の2紙が100部ずつ届く。9時ごろから「まだかな」とそわそわしていた、いわき市の宮川サト子さん(69)は「東京では田舎の情報が分からないから、隅から隅まで読んでいます。気になるのは生活情報。少しでも住めるようになったら早く帰りたい」。

 同市の海辺で30年経営してきたカフェと自宅が津波で流されたという鈴木富子さん(57)は2紙をじっくり読みながら「新聞で福島という字を見ただけでほっとする」とほほ笑んだ。

 自宅で不安の夜を過ごした人にも、新聞は安心を届けた。仙台市太白区の岩間麻子さん(37)は、震災翌日に新聞が届いた喜びを語ってくれた。

 地震直後、祖父母を助けに行った父と連絡が取れなくなった。真っ暗なアパートで小学生の息子と寄り添いながら迎えた朝。玄関でコトンと音がした。空き巣かと思ったが、ポストに地元紙が。「こんな状況なのにちゃんと届いてくれた。それが本当にうれしかった」と振り返る。

 「各地の情報を伝える記事には記者の署名があるけど、書いた人の気持ちが伝わってくる記事は心を打つし、みんなの励みにもなる。これからも被災者と記者の気持ちが一緒に伝わってくる記事を書いてほしい」
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