東日本大震災

山川元さん「問題、人ごとじゃなく」 県ゆかりの著名人・やまがたを思う[3]

2011年04月07日
山川元さん=東京・新宿
山川元さん=東京・新宿
 -監督・脚本作「東京原発」(2004年)では、役所広司さん演じる都知事が「東京に原発を誘致する」と表明。原発に潜む問題を、ブラックユーモアを交えて描く。

 「映画を作るまで原発のことはほとんど知らなかった。調べてみると、原発の危なさを自分も周りもあまりに知らないことにびっくりした。作品は原発に賛成か反対かを問うているのではない。僕が描きたかったのは身近に恐怖が迫るまで反応しない、人間の無関心ぶりだ」

 -福島第1原発で事故が起きてようやく、多くの国民が原発について考え始めた。

 「『核の平和利用』と言うけれど、使用済み核燃料を排出し地球をどんどん汚して、どこが平和利用なのか。でもこんなふうに主張すると、変人扱いされてしまう。だから僕は映画で表現する。東北や関東の人間は、大変なことが起きていると感じている。でも離れて暮らしている人たちの多くは、まだ人ごとに感じているのかもしれない」

 -劇中で指摘した原発の問題が現実となっている。

 「今回の原発事故についてどの専門家も言いだしたのは『想定外』。想定外のことを想定するのが専門家だ。想定できなかったことを恥じ、国民にわびろと思った。菅直人首相は東京電力に対して、原発からの職員撤退などあり得ないとした上で『覚悟を決めてほしい』と言ったらしいが、それも『いまさら?』という印象。こうなる覚悟もなく原子力政策に取り組んできたのだろうか」

 -原発に頼らなければ電力を賄えない現状がある。

 「原発は、それに代わるエネルギー源ができるまでのつなぎにすればいい。原発1基造る金をその開発に向けていってほしい」

 -東北の惨状をどう受け止めているか。

 「三陸の先人たちは繰り返し天災に見舞われ、そのたびに立ち直ってきた。それは、日本海側の人間がどれだけ大雪に降られても春が来ると分かっているから我慢するのと一緒。東北人が粘り強いといわれるのは、その経験がDNAに刻まれているからだろう。でも、原発事故は人々を鬱屈(うっくつ)した気持ちにさせている。この事故さえなかったら、もっと復興に向けて気持ちは前向きだったのではと悔しい」

 -山形県民に期待することは。

 「山形への避難者の中には、もう古里には戻れない人もいるかもしれない。そうした人たちのことをどれだけ自分のことのように受け止めることができるか。近くに住んでいるからこそできるケアの方法があると思う」

 ▽やまかわ・げんさん 映画監督。1957年上山市生まれ。山形商高卒。証券会社勤務の後映画界に。伊丹十三監督の「ミンボーの女」、周防正行監督の「Shallwe ダンス?」などで助監督を務める。監督作品に「東京原発」、松坂慶子さん主演の「卓球温泉」などがある。
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