2011年04月16日
本県の男性から贈られた画材を手に、決意を新たにする藤原久美子理事長=仙台市
「東日本大震災の被災者に届けたい」と、画材を募るボランティアを始めたNPO法人「東北の造形作家を支援する会」を優しく包む「アートの輪」が少しずつ広がっている。本紙の記事で活動を知った本県の男性から絵の具が贈られたほか、本紙記事をネットで閲覧したパリ在住のアーティストから応援メールも寄せられた。支援する会は「世界は1つと実感した。みんなの善意に応えられるよう、画材を失った作家や子供たちのために頑張っていきたい」と決意を新たにしている。
パリからメールが届いたのは4月3日、活動が本紙で紹介されて間もなく。「山形新聞の記事で『支援する会』のことを知った。寄付したいのですが」。送信したのは似鳥水禧(にたどり・みき)さん(39)。
似鳥さんは東京都出身。日本、タイ、ハワイ、ヨーロッパで育ち、1992年、パリに移住した。写真を布地に転写した作品制作を手掛け、展覧会を開くなどの活動を続けている。大震災発生をネットで知り、大きなショックを受けたという。「(復興を)祈ることも大事だが行動することはもっと大事。息子が通っている小学校で募金活動を行った」。その際、子供たちに被災者を励ます絵も描いてもらった。「海外にいる日本人、そして世界中の人々が応援している。被災した人たちが1日も早く安定した生活に戻れるよう願っている」
本県からは画材が届いた。南陽市郡山、会社役員相沢裕一さん(55)は油絵の具を贈った。「いろいろな形の支援がある中で、被災地に画材を贈るという記事が頭に残っていた」。相沢さん自身、絵を描いており、創作できない苦しさがよく分かるという。「絵は常に描いていないと筆が重くなる。ボランティアはなかなかできないし、被災地に行くわけにもいかない。できる範囲でしか応援できないが、少しでも役に立てばと思う」
支援する会の活動拠点「そあとの庭」(仙台市青葉区郷六)は3月11日の大震災で瓦屋根などが破損、使用不能となった。4月8日にブルーシートを掛け雨漏りを防ぎ、瓦屋根も一部修理したが、11日の余震で鉄製の風見鶏が落下、再び工事が必要となった。14日から開催予定だった東北芸術工科大(山形市)の卒業生3人による展覧会は延期を余儀なくされた。
そんな苦しい状況の中、パリから、山形から、届いた優しい心。油絵の具のほか、スケッチブックやアクリル絵の具をプレゼントした人もいる。「世界はつながっているんだと実感し、温かい気持ちになった」。支援する会の藤原久美子理事長は話す。「医療や福祉も大事だが、子供たちの心のケアもとても大切。被災したアーティストを支援するとともに、子供たちが楽しめるアートイベントも考えたい」。画材を募ると同時に、被災地で困っているアーティストの情報提供も呼び掛けている。問い合わせは仙台美術研究所022(722)3955。