東日本大震災

別れ惜しみ二次避難 福島の住民、安堵の声

2011年04月17日
 福島第1原発事故などに伴い本県に避難している福島県民の二次避難先への移動が16日、上山市と天童市を皮切りに始まった。滞在先は温泉旅館やホテルで個室も確保できることから、避難者からは安堵(あんど)の声が聞かれた。また、約1カ月に及んだ避難所生活で交流を深めた同郷の人や支援に当たった職員と別れを惜しむ姿も。福島県によると14日現在、県内に避難している341世帯、計1205人が二次避難先への移転を希望し、18日から各地域ごとに移動する。

畳の温かさに感激・上山
\r\n$p_unit 福島県南相馬市から上山市体育文化センターに避難していた運送業福島由光さん(44)と母克子さん(70)。午後2時すぎ、2人は寝泊まりしていた部屋をほうきできれいに掃除した後、市職員やボランティアスタッフら一人一人に「お世話になりました」と声を掛け、二次避難先の旅館に向かった。

 先月16日から続く避難生活で、由光さんは風邪をひくなど一時体調不良に見舞われたこともあったという。旅館の和室に案内された由光さんは「個室で生活することができ、少し心と体がほぐれるかも」とほっとした表情。克子さんは「畳がとても温かく感じる。涙がこぼれるくらいうれしい」と笑顔を見せた。

 福島県の方針では、少なくとも2カ月間は旅館に滞在できる。由光さんは「いつ自宅に戻れるのか分からないが、福島に仮設住宅ができたら移りたいと思っている」と希望を口にし、「できるだけ実家の近くに住み、墓を守りたい」と続けた。

感謝、再会を約束・天童
\r\n$p_unit 午後3時半、天童市スポーツセンターを最後の避難家族が後にした。ピーク時には170人が身を寄せていた武道場とアリーナからは、敷き詰められた布団も、子どもたちの声もなくなった。「寂しくなった」。3月15日の開設から運営に携わった市職員高橋正義さん(53)はがらんとした施設内を見渡しながらこの1カ月間に思いを巡らせた。

 「できることは、何でもやろう」。高橋さんら市職員はそう誓い、避難者に向かい合った。暖房燃料の確保に奔走し、インフルエンザがまん延した時は複数の小部屋を用意、3台の洗濯機は職員が持ち寄った。「居心地が良いから、ここへ来れば」。避難者が友人、知人を天童へ誘った。「その会話を聞いたときは本当にうれしかった」と高橋さんは振り返る。

 深々と頭を下げる老夫婦、元気に手を振る子ども。再会を約束し、職員と別れを惜しむ姿があちこちで見られた。避難所に最初に入った福島県富岡町の福田チエさん(58)は「放射能の影響で今後何十年も自宅へは戻れないだろう」。しかし、そんな不安は表情には出さず、「天童のみなさんには、感謝の言葉しかない」と最後まで気丈に、別れのあいさつを交わした。
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