2011年04月19日
-古里の福島県(いわき市)を含め、今回の大震災で東北は甚大な被害を受けた。どう受け止めているか。
「超非常事態に直面し、自分にできることは何かを自問自答し続けてきた。1カ月以上たった今、『災い転じて福となす』とするには、住宅やインフラ整備などの表面的な復興と併せ、日本は生まれ変わるんだという考え方で新しい国づくり、人づくりを推進すべきだと思っている」
-政府は「復興構想会議」を設置し、議論を始めた。
「政府の対応を見ていると、新たな会議をつくるばかりで、責任者が見えない。国家を統治し、経営する能力を持つ人がいないように映る」
-打開策はあると思うか。
「例えば、米中枢同時テロ(2001年)発生時にニューヨーク市長だったジュリアーニ氏のような人材の派遣を海外に求めてはどうか。国家の経営、統治のシステムの早急な具現化は日本人だけではできないように思う。ジュリアーニ氏はテロ発生後の対応だけでなく、縦割り行政の排除、経済、教育改革でも実績を上げた。招聘(しょうへい)できれば各国の見方、考え方も変わる。世界に安心感を与え、先進国の再生復興モデルを提示できる」
-日本の政治家の抵抗が考えられる。
「奇跡的な再生のためには政治家が見えやメンツを捨てることが大切。日本の政治家は、言葉は悪いが政争と次の選挙で当選することしか考えていないと感じる。政治家には民間の経営感覚が必要だ。それぞれが個人の目標を持ち、国家のために何をするかを公表し、危機突破のために奮闘してもらいたい」
-復興には、次世代の人材育成が重要になる。自身の研究分野の「人づくり」の視点から言えることは。
「40年以上にわたる企業経営、公務員や経営者への研修指導、さらに、山形大での研究を通して『ライフマネジメント』という理論をまとめた。人生の構成要素を徳、家、知、体、美、遊、財の『七つの育』に分解してそれぞれの目標を設定する。その上でできたこと、できなかったこと、その理由を考えて生活する自己管理による目標管理システムだ。自分の能力を引きだし、自己実現を目指す。このような人格形成などの基盤教育を重視する教育改革が求められる」
-システムは客員教授を務める山形大工学部だけでなく、中国や韓国の大学でも教えられていると聞く。
「三つの大学、研究者で今年2月に覚書を交わし、『未来設計と成功エンジニアリング』という講義名で、基盤教育の一つとして学生が学んでいる。この巨大で深刻な大災害を発奮材料にし、若い人だけでなく、多くの国民が国のため、社会のため、人のためにどう役に立つか目標を掲げ、日々創意工夫し、努力を重ねてほしい」
▽さとう・やすたさん NPO法人ライフマネジメントセンター理事長。1924年いわき市生まれ。米沢工業専門学校(現山大工学部)を卒業し、タカラ(現タカラトミー)の前身の会社を設立。「だっこちゃん」「リカちゃん人形」「人生ゲーム」などを生み出した。2002年に社業を退き、07年に83歳で山大大学院に入学。3年の研究を経て工学博士号を取得。