東日本大震災

杉村隆さん「本県が復興リードも」 県ゆかりの著名人・やまがたを思う[14]

2011年04月20日
杉村隆さん=東京都台東区の日本学士院
杉村隆さん=東京都台東区の日本学士院
 -東日本大震災が発生した際はどこに。

 「国立がん研究センター(東京都中央区)にいた。ニュージーランド地震の記憶があったので、建物が倒壊するかと思い、外に出た。すると周りの建物も横にだけでなく、回転するように大きく揺れていた。電車が止まっていたので友人の車に乗って自宅に向かったが、渋滞で前に進まない。午後4時20分にセンターを出て、吉祥寺の自宅に着いたのは10時半だった。青梅街道や5日市街道を黙々と歩く人々が印象的だった。あんな光景は見たことがない」

 -震災では地震に加え、津波の被害が大きかった。

 「地震予知に関しては、東海地震ばかり注目されていたが、なぜ三陸に目が行かなかったのかが悔やまれる。現在は地震後すぐに、各地の震度や震源地、津波警報が発表される。今回はもっと緊急な『巨大津波警報』を出すなどして、しっかりと注意を喚起すべきではなかったか。避難してから自宅に戻り、被害に遭った人もいる。自然科学者の1人として言えば、学者を含めてもう少し検討すべきだと思う」

 -戦時中、鶴岡市に家族が疎開した。その経験から避難生活を送る人々に言いたいことは。

 「家族が鶴岡に疎開したのは1945(昭和20)年3月。私は東京大医学部に入学するため、1人で東京に残ったが、しばしば鶴岡に行っていた。鶴岡の人たちは心が温かく、よく面倒を見てくれたため、家族は幸福だったと思う。さらに、私は庄内地方の師弟が入る学生寮『荘内館』に入寮できたため、多くの友人ができた。確かに避難するというのはマイナスだが、新たな人との出会いもある。ポジティブに考えた方がいい」

 -長引く避難生活は、健康面にも影響が出てしまう。

 「生理学的に、お年寄りは新しい環境に適応しにくい。その結果、精神的にもダメージを負うことになる。ライフラインが復旧しない中での介護、看病は非常に苦労していると思う。それに、福島第1原発の事故は残念。この状況の下、放射線量を心配しながら、原発の近くで仕事をしている人は大変だ」

 -復興に向けて県民はどうサポートするべきか。

 「山形県人はお世辞は言わないが、心がこもった言い方をする。自分を犠牲にしても人のことを考える傾向もある。また、排他的なところもあるが、おおむねおおらかだ。庄内でも藤沢周平さんや丸谷才一さんなどの文化人を輩出する一方で、慶応大先端生命科学研究所などが最先端の研究を進めていたりする。知的にレベルが高く、落ち着いたものの考え方ができる。地理的に山形は東北の中心部。復興をリードすることができるのではないか」

 すぎむら・たかしさん 国立がん研究センター顧問、日本学士院幹事。1926年東京都生まれ。74年に国立がんセンター(現国立がん研究センター)研究所長、84年に同センター総長。92年に名誉総長に就き、東邦大学長も務めた。93年から2006年まで財団法人日本対がん協会長。78年文化勲章受章。鶴岡市、東京都武蔵野市の名誉市民。
東日本大震災 記事一覧
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] 
文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大
ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【県縦断駅伝の写真提供します】
     山形新聞社は、第58回県縦断駅伝競走大会で、本社カメラマンと記者が撮影したレース写真をホームページ(HP)「やまがたニュースオンライン」に掲載し、有料で提供します。写真サイズは、キャビネ判から四つ切りまで4種類で価格は表の通り。山新ヨモーニャくらぶ会員は20%引きです。アドレスhttp://yamagata-np.jp/p-shop/
  2. 【やまがたの野鳥を聞く】
     インターネットと紙面が連動し、野鳥の鳴き声を文字と音で紹介する企画「やまがたの野鳥を聞く」。本紙の記事を読んで、ホームページにアクセスすると、県内に生息する鳥たちのさまざまな鳴き声を耳にすることができます。ログインはこちら。また、携帯・スマートフォンの有料ページにも同様のコンテンツがあります。携帯・スマートフォンサイトへのアクセス方法は、こちら
  3. 【山新おしどり金婚さん顕彰】
     山形新聞、山形放送はことしも「山新おしどり金婚さん」の顕彰事業を行います。結婚して50年になるご夫婦の人生を祝福し、お二人の名前を刻んだ盾(レリーフ)を贈ります。4月1日から申し込みを受け付けます。
    【対象】1963(昭和38)年に結婚されたご夫婦としますが、結婚50年を経過し、これまで顕彰を受けていないご夫婦も申し込みできます。
    【申し込み方法】証明書などは不要です。所定の用紙に必要事項を記入し、山形新聞の本社、支社、販売店、もしくは居住する市町村の老人クラブに提出してください。申込用紙も用意してあります。
    【受付期間】4月1日(月)から5月31日(金)まで。
    【顕彰】8月中旬の山形新聞紙面で紹介し、盾を市町村の敬老会や福祉のつどいなどの席上で贈呈するか、もしくは、販売店からのお届けとします。
    【盾】元国画会会員、元山形大名誉教授で彫刻家だった故染谷英五氏が制作したレリーフです。
    【問い合わせ】山形新聞社・おしどり金婚さん顕彰事務局023(622)5271。
    【個人情報の取り扱い】申し込みいただいたお客さまの個人情報は山形新聞社、該当エ
    リアの販売店および取扱業者で適正に管理し、盾の制作やお届け、山形新聞の業務案内に利用させていただきます。
  4. 【「私の主張」投稿】
     山形新聞は、「意見のページ」で募集している「私の主張」「若者の声・少年少女の声」について、ホームページ「やまがたニュースオンライン」から投稿できます。バナーをクリックし必要事項を記入し、ご意見をお寄せください。
  5. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  6. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  7. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  8. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報、おくやみ… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  9. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から