2011年05月03日
床下に流れ込み乾燥してしまった泥を手作業でかき出す作業が続けられる=宮城県気仙沼市
山形市のNPO法人国際ボランティアセンター山形(IVY)が宮城県気仙沼市と石巻市で、被災者を復興事業に雇用して賃金を支払うプロジェクト「キャッシュ・フォー・ワーク」を展開している。職を失った被災者が従事するのは、津波の被害者宅での片付け作業。「仕事は生活立て直しの第一歩」「自宅に帰れるめどが立った」と作業を行う側、依頼する側いずれからも好評だ。(報道部・色摩高幸、阿部研一)
津波と火災に見舞われた気仙沼市鹿折地区。店舗と棟続きの家の中で、男性3人が床板を剥がし、スコップで土間にたまった泥をかき出している。後藤好忠さん(42)は作業7日目を迎え、身のこなしが様になってきた。営業マンだったが、震災で地元支社は閉鎖。八戸転勤を断って解雇された。家族8人、自宅は無事でも、生活基盤の仕事がない。プロジェクトに飛び付いた。「力仕事には慣れたけど、ほこりで声がガラガラだよ」と笑う。
IVYが避難所に物資を届け1カ月以上たった。「被災者が今求めるのは仕事と住むところ」とチーム気仙沼スタッフの斎藤卓磨さん(30)。キャッシュ・フォー・ワークはスマトラ沖地震で実績を上げた被災者の自立支援策だ。被災者から働き手を募り、自宅の片付けがままならない避難所暮らしの高齢者らを手助けする。賃金は国内外から寄せられた基金を充てるシステムだ。石巻を皮切りに、4月22日から気仙沼でも始めた。
「おばあちゃんの財産が壊れなくてよかったー」。無傷で回収できた食器類の泥を落とす作業員の女性2人(中央)と住人が笑顔で語らう
依頼主の男性(67)宅は1階天井まで水につかり、屋根にタイヤ、庭にはよその物置3棟が流れ着いた。「とても1人では泥かき出しまで手が回らず頭を抱えていた。気分的に楽になった」。電気、水道も復旧し、自宅で再び生活できる道筋が見えてきた。
住まいを元に戻すには女性の手が必要だ。小松忠さん(80)宅で「うちのばあさんがコツコツためた財産」という瀬戸物洗いに精を出すのは、共に職を失った阿部詩乃さん(17)と関口美香さん(29)。無傷で回収できた家具や食器洗いも作業メニューに加えて募集したところ、女性も集まりだした。
時給750~800円で、日払いされる。2カ月で延べ1000人の雇用を生み出す。IVY理事の阿部真理子さん(55)=山形市=は「地元の人を雇って、地元の人助けをし、地元の復興につなげることに意味がある」とし、求人は地元在住者に限定。事業期間の延長、エリア拡大に向け「基金への協力も大、大募集中です」。