東日本大震災

本県の関係者ら、無料上映会開始 映画の感動を被災地に

2011年05月06日
 東日本大震災の被災者に映画を届けようと、山形市の映画関係者らが共同で無料上映会に取り組んでいる。こどもの日の5日、第1弾となる上映会を宮城県石巻市の避難所・湊小学校で実施。集まった子どもやお年寄りが「映画を見るのなんて久しぶり」「また来てくれる?」と笑顔を見せた。(報道部・高橋澄恵)

映画に見入る子どもたち=宮城県石巻市の湊小
映画に見入る子どもたち=宮城県石巻市の湊小
 上映会を行ったのは、山形市の山形県映画センターとNPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭、映画館運営のフォーラムネットワーク。これまで県内各地の避難所で無料上映会を開いてきたが、同時に被災地での上映準備も進めてきた。「親切の押し売りにならないように気を付けている」と映画センター副代表の宮沢啓さん(56)。湊小の災害対策本部長庄司慈明さん(60)らと事前に対話を重ね、避難者の年齢層やニーズを探ってきた。

 この日は、吉永小百合さん主演の名画「キューポラのある街」にお年寄り約10人。こま撮りアニメーション「こまねこ」には子ども約20人が集まった。愛くるしい子猫のキャラクターが登場して高学年の男子児童も「かわいい」「おもしぇー」。ハッピーエンドの結末に満面の笑みで見入っていた湊小4年の石川幸奈さん(9)は「悲しいところもあったけど、何ていうのかな…、感動的だった」。場面を反すうしながら懸命に感想を伝えてくれる。目を輝かせて「また来るの?」。

 一時は1300人が避難した湊小に、5日現在257人が身を寄せる。屋上に足を運ぶと、上空を飛ぶヘリコプターに向けてだろうか、段ボールを並べて作った「アリガトウ」の文字があった。校舎に隣り合う寺院・多福院では、墓石の上に車が何台も乗り上げている。家族4人で崩れた墓を直していた男性(46)は「一つずつやっていかないと」と黙々と作業を続けた。

周囲にがれきが積み重なったままの石ノ森萬画館(中央奥)。閉館中だったがこどもの日に特別開館、多くの親子連れでにぎわった
周囲にがれきが積み重なったままの石ノ森萬画館(中央奥)。閉館中だったがこどもの日に特別開館、多くの親子連れでにぎわった
 湊小にほど近い石ノ森萬画館は多くの親子連れでにぎわっていた。津波の被害を受け閉館中だが、こどもの日は特別開館。全国から寄せられたおもちゃが来館者にプレゼントされ、ヒーローショーも行われた。震災後ほとんどの職員が解雇されたものの、この日は多くの元スタッフが駆け付けた。助川莉枝子さん(25)=石巻市=もその1人。「子どもたちの遊べる場所が今はほとんどないから、少しでも役に立ちたかった」。コスプレ姿で友人と仙台市から訪れた女性(25)は「この格好に子どもたちが喜んでくれると思って」。それぞれが思いを巡らせていた。

 被災地の映画上映には、日本映画監督協会やコミュニティシネマセンターなど東京に本部を置く組織も動きだそうとしている。いち早く活動を始めた山形の映画関係団体をはじめ、各地の映画関係者らが今後は互いに連携を図り、被災者の声に応えて上映会を開催していく予定だ。
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