東日本大震災

避難の中学生が希望のマウンド イースタン楽天・山形開幕戦で始球式

2011年05月08日
「始球式では、キャッチャーのミット目掛けて思い切り投げたい」と話す佐藤翔君=中山町
「始球式では、キャッチャーのミット目掛けて思い切り投げたい」と話す佐藤翔君=中山町
 東日本大震災による福島第1原発事故で、福島県浪江町から中山町に避難した中山中1年の佐藤翔君(12)が、17日に荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがた(県野球場)で行われるプロ野球イースタンリーグの東北楽天ゴールデンイーグルスの今季山形開幕戦で始球式の投手を務めることになった。震災を乗り越え、野球を続ける佐藤君は「キャッチャーのミットを目掛けて思い切り投げたい」と“大役”に意気込みを見せている。

 震災後、一家で福島県南相馬市に一時避難。その後、二本松市で親戚と合流。寒河江市の知人の紹介で、3月17日に中山町勤労文化センターに移り落ち着いた。

 佐藤君が野球を始めたのは、浪江町の幾世橋(きよはし)小2年の時。さまざまなポジションをこなし、3番打者として活躍した。地元の浪江東中に進む予定だったが、震災で避難。中山中に入学し、中山ベースボールクラブの佐竹英規監督から用具を用意してもらい、再び野球ができる環境が整ったばかりだ。佐藤君は「とてもうれしい。新しい環境で友達をたくさんつくりたい」と話す。

 始球式は、中山町の住民有志や町職員らでつくるボランティア団体「タカスタ楽天クラブ」が企画。メンバーで、町総務企画課代表統括の佐東秀治さんが避難所で、ひたむきに野球に打ち込んできた佐藤君の話を聞き、楽天球団に始球式に参加させてほしいと申し入れ、球団側が快諾した。「中山ですてきな思い出を作ってもらいたい」と佐東さん。佐藤君は「すごいチャンスだと思う。ありがたい」と感謝の言葉を口にする。

 楽天で好きな選手は田中将大投手。「フォームがきれいで切れのある球を投げる」とあこがれる。始球式に向けては「硬球だからキャッチャーまで届くか不安だけど、思い切り投げたい」。母の博美さんは「中山町民の温かさに感謝し、頑張って投げてほしい」とエールを送る。

 17日は午後6時開始で、横浜を迎え撃つ。当日は楽天選手のサインボールやりんごジュースなどが当たる抽選会もある。関係者たちは「多くの人に足を運んでほしい」と呼び掛けている。
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