東日本大震災

震災5カ月・南相馬の奮闘(上) 本県避難の女性ら「鹿島区を守る会」

2011年08月11日
「すべての市民に笑顔が戻るように」と話す西文子さん(左)と竹花ふくいさん=福島県南相馬市
「すべての市民に笑顔が戻るように」と話す西文子さん(左)と竹花ふくいさん=福島県南相馬市
 東京電力福島第1原発事故による避難区域指定で市内が“4エリア”に区分された福島県南相馬市。市民の約半数が避難しているが、その線引きは帰りたくても帰れず、帰っても暮らせない状況や、補償の基準として住民間の不公平感も生み出している。原発事故が復興の道筋を複雑にしている。それでも本県に身を寄せている住民は言う。「南相馬はいい所なんだ」。きょう11日で震災発生から5カ月。まちの再起を願い、奮闘する人々を追った。(米沢支社・三浦光晴)

 「すべての市民に笑顔が戻るように」。7月27日、桜井勝延南相馬市長に1通の要望書が手渡された。まとめたのは、鹿島区を守る女性の会。同区で地域づくりの協議などに関わってきた西文子さん(61)らが市役所を訪ね、訴えた。

 西さんは大地震の後、3世帯14人で避難した。知人を頼って本県に身を寄せ、3月末に米沢市のアパートを借りた。近所の人がボランティアを紹介し、飲食店が鍋を貸してくれた。「本当に良くしてもらった」。気持ちが落ち着くと、復旧の進まない古里への思いが込み上げてきた。「ぐちを言っても前に進まない」と4月下旬から自宅と米沢市を行き来し、週末に米沢に戻り、小学1年生と1歳の孫に会う日々を送る。

 南相馬市は2006年、原町、鹿島、小高の3つの市町が合併して誕生した。原発事故に伴い「警戒区域」「緊急時避難準備区域」などに区分された。鹿島区住民の9割、約2000世帯は指定区域ではない30キロ圏外に住み、義援金の1次配分、東電の仮払金の対象から外れた。介護保険や医療費の免除もなく、身を削って自主避難していた。

 「鹿島区の住民の生活が『圏外』だけで完結していた訳ではない」と西さん。30キロ圏内に勤めていたために勤務先の休業で職を失った人もいる。津波で潮をかぶったままの農地は、復旧しても原発事故による風評被害が懸念される。補償をめぐる不公平感から「原発事故が地域コミュニティーを壊そうとしている。市から離脱しようと言い出す人さえいる」と西さん。

 そんな中、7月に西さんら有志で女性の会を立ち上げた。「原発事故を乗り越えて絆を深めていかないと」と同会に協力する竹花ふくいさん(61)=同区。「政治の分からない素人だけど市民の声を伝えたい」と、市に対する要望書で▽全市民を平等に補償すること▽義援金を公平分配すること-などを求めた。

 同会の活動を支えたのは、米沢市を拠点に中間支援などに取り組むボランティア山形。「西さんたちは行政に対し参加型の復興を提案している」と井上肇代表理事は話す。「行政は住民の声をしっかり受け止めてほしい」。西さんは思う。「震災で失ったものは多いけど、私たちは時代が変わるときを生きている」

 県広域支援対策本部避難者支援班によると、県内の避難者数は7月28日現在8578人で、このうち7712人が福島県民。南相馬市のまとめでは8日現在2168人が本県に身を寄せている。

避難区域 政府は事故があった福島第1原発からの距離に応じ、立ち入りを制限する「警戒区域」(半径20キロ圏内)、緊急時の屋内退避などを求める「緊急時避難準備区域」(同20~30キロ圏内)、積算放射線量が年間20ミリシーベルトに達する恐れのある「計画的避難区域」を指定。南相馬市はいずれにも当てはまらない地域を合わせ、市内が4区域に分けられた。また7月末以降、市内131世帯が局地的に放射線量の高い特定避難勧奨地点に指定されている。
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