2011年09月06日
本県など各県の法務局は、東日本大震災で全壊した建物の「滅失登記」を職権で始める。通常は所有者に課される手続きだが、国が代行することで被災した所有者の負担軽減を図る狙い。登記官の職権による滅失登記が実施されるのは1995年の阪神大震災以来となる。本県では全壊した約40の建物が対象となる見込みで、9月中にも登記手続きが進められる。
不動産登記法は、建て替えなどで建物を取り壊した場合、所有者が1カ月以内に滅失登記を申請するよう規定。自宅が地震で倒壊したり、津波で流失した際もこの手続きが必要となる。
国は被災者支援策として、全壊した建物を対象に、職権による滅失登記の実施を決めた。震災で自宅を失い避難生活を強いられている被災者らの負担増を避けるためで、現況を登記簿上に正確に反映させ、不動産取引や建物の権利に絡む将来のトラブルを防ぐ目的もある。
阪神大震災の際は、被災府県の約10万戸が職権で滅失登記された。今回は10県の法務局と地方法務局が実施する予定で、東北、関東北信越の約20万戸が調査の対象になるという。
山形地方法務局によると、東日本大震災が発生した3月11日と4月7日の余震で、県内では約40の建物が全壊した。一方、所有者による滅失登記の申請はないという。本田法夫首席登記官は「申請義務があることがあまり知られていないためではないか」と推測する。
同地方法務局は、県内の各市町村に全壊した建物の有無について照会。9月中に登記官が現地で建物を調査し、10月上旬に滅失登記を完了させる予定。
本田首席登記官は「法務局が把握していない全壊建物があるかもしれず、その際は申し出てほしい」とし、「宮城、福島から避難してきて自宅の登記について不安を抱えている人もいると思うが、安心してほしい」と呼び掛けている。滅失登記に関する問い合わせは平日の午前8時半~午後5時、同地方法務局登記部門023(625)1358。