東日本大震災

希望乗せ風船を空へ 1年ぶり、仙台の海岸へ歩く

2012年03月12日
犠牲者の鎮魂と未来への希望を願い風船を飛ばす参列者=仙台市若林区荒浜
犠牲者の鎮魂と未来への希望を願い風船を飛ばす参列者=仙台市若林区荒浜
 186人の命が津波とともに消えた仙台市若林区荒浜。震災直後、大量のがれきに阻まれ、たどり着けなかった海への道を11日、1年ぶりに歩いた。

 仙台東部道路のガード下から海岸線まで約3キロの道のり。昨年3月12日早朝、遠くで上がる黒煙を横目に見ながら歩き続けた一本道。大地を埋め尽くしていた漂流物は片付けられ、「あの日」の痕跡はほとんど見当たらない。

 しかし、半分ほど進むと風景は一変する。どこまでも広がる荒野。灰色の土台だけが、かつて住宅街だったことを示す。海岸線にまばらに残る松林が痛々しい。

 どこからか規則正しい音が聞こえてきた。復興工事のつち音だろうか。周囲を見回す。太鼓をたたいて供養の経を読みながら行進する集団だった。

 海岸の入り口に立つ慰霊塔を前に午後2時半から一周忌追悼法要が始まった。「この世の無常を痛感」「安らかに眠ってください」「苦しみを乗り越え立ち上がることが犠牲者の願い」。代表者が涙ぐみながらあいさつする。震災発生の2時46分、全員で黙とう。自分も手を合わせる。

 法要後、参列者が花の種を入れた風船を一斉に飛ばした。赤、黄、緑…色とりどりの風船が青空を舞う。帰路。失われた命の鎮魂、一日も早い復興を祈りながら一歩ずつ踏み締めた。
(仙台支社・松田直樹)
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