東日本大震災

震災1年-やまがたの避難者[3]子どもの就学・進学

2012年03月13日
福島市渡利地区から避難し、3学期から山形六中に転入した高橋沙夜さん。バレーボール部に入り、友達もできた=山形市
福島市渡利地区から避難し、3学期から山形六中に転入した高橋沙夜さん。バレーボール部に入り、友達もできた=山形市
 福島市渡利地区の中学1年生高橋沙夜さん(13)が山形市に避難したのは今年1月。福島第1原発事故の後も、友達と離れ離れになるのが嫌で山形に来ることを拒んでいた。先に妹八恵奏ちゃん(3)と避難していた母吏香さん(39)の説得に応じ、3学期から山形六中に通っている。

 渡利地区は局所的に放射線量が高い「ホットスポット」を抱え、昨年7月初め、自宅そばの地上50センチで毎時2.9マイクロシーベルトが計測された。今も父慎也さん(45)と姉の高校1年亜莉沙さん(16)が残る。県内有数の進学校に通う姉は「1人でも福島で暮らす」と思いは強い。

 最初は戸惑うことが多かったが、バレーボール部に入り、友達もできた。遅れ気味だった勉強も「昼休みに先生に教えてもらったりしたので大丈夫」と明るい。

 4月から2年生。2年後の進路の話題になると少し困った様子で口をつぐんだ。「福島の高校?」との問いに、小さくうなずき「福島の友達と一緒に通いたい」とつぶやく。吏香さんが続けた。「福島に行きたい高校があるみたい。バレーボールが強い学校。でも、今のままの放射線量では戻るのは難しいかな」。非情な現実が子どもの夢の前に立ちふさがる。

 一方、福島県南相馬市原町区から米沢市に避難している岡由紀子さん(41)の思いも複雑だ。23日に卒業式がある。万世小6年の長女(12)が「あの日」まで通っていた学校の式だ。仲の良かった友だちと一緒に節目を迎えたいのではないか。学校は「来賓席なら用意できる」と言う。娘に聞く。どうしようか? 「別に行かなくていいよ」。本当? 「気にしないよ」。本当に?

 「子どもがそう言っても親はやっぱり気にするでしょ」。岡さんは笑顔をつくるが、どうしても感じてしまう。本音をのみ込み、我慢しているのではないか、と。

 夫を地元に残し、長女、長男(16)、次男(14)と4人暮らし。長男は昨春、合格校に通うことなく米沢の高校に転入した。次男は春から中学3年生。親子ともども、早くも志望校選びに頭を悩ませている。

 避難者同士で情報交換してみても、校風や特色などは分からない。入試制度も福島県と異なり、「親が蓄えてきた進路の知識が役に立たない」。入学したら卒業まで通わせたいが、いつまで米沢に住めるのか、働けるのかは見通せない。

 原発事故に伴う緊急時避難準備区域となっていた原町区。昨年9月末に解除されたが、「大丈夫という保証がなくて悩む。万が一を避けるのか、教育環境を取るのか」。足場が不安定な避難生活。悩みは2重、三重に積み上がっていく。(「やまがたの避難者」取材班)
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