2012年03月29日
ふるさとの名物「浪江焼きそば」を調理する高橋昭太郎さん=米沢市八幡原5丁目
東日本大震災や福島第1原発事故の影響で、福島県浪江町から米沢市へ身を寄せている高橋昭太郎さん(68)が28日、ふるさとの味「浪江焼きそば」を避難者やボランティアらに振る舞った。
高橋さんは、米沢市関根の借り上げ住宅で生活している。浪江町では和食店を経営しており、料理人歴は50年近く。「カウンター越しにお客さんと話をするのが大好きだった」と言うが、震災後は自身の店に戻ることもできない。半世紀ならした腕を振るう場を失い、張り合いのない生活を送っていた。
この日は、東京の食品卸売り企業が、高橋さんが理事を務める福島県飲食業生活衛生同業組合に提供した調理スペースのある特注車で米沢市の万世コミュニティセンターへ。お茶会に集まった避難者やボランティアらに太い麺が特徴の浪江焼きそばを出した。
山形市で暮らす福島県南相馬市の武沢治さん(58)はかつて浪江町で働いていたこともあり、知人の様子を見に会場に。「懐かしい味だった。福島のことを思い出させてくれた」と感慨深げ。お茶会に毎週訪れているというボランティアの山口紫緒子さん(51)=米沢市笹野=は「高橋さんが元の生活に戻る第一歩になるといい」と話した。
高橋さんは今後、特注車で福島県内の仮設住宅を巡り、焼きそばなどを提供する考え。依頼があれば米沢市のイベントにも出店するという。「残りの人生はみんなに喜んでもらうだけでいい。この車を通じて、また人とのつながりを持ちたい。なんだか生き返った感じだ」と豪快に笑った。