2012年04月22日
ドキュメンタリー映画の制作に取り組む東北芸術工科大生ら(右)。震災時の体験や未来への希望などさまざまな声をカメラに収めた=宮城県山元町
東北芸術工科大(山形市)の学生がフランスのアーティストと共に、東日本大震災の被災地・宮城県山元町でドキュメンタリー映画を制作している。21日には、津波で荒廃した大地に食卓を並べ、町民に震災時の記憶や未来への希望を語ってもらうワークショップ「ランチタイム」を開催、復興に向け懸命に歩み出した被災地の人々の姿をカメラに収めた。
アートを通した復興活動を展開している東北芸工大の東北復興支援機構(TRSO)が企画した。古里の再生を願う被災地の人々の姿を記録し、世界に発信しようというプロジェクトで、パリ在住のジャンリュック・ビルムートさん(60)と西村麻美さん(30)を監督に迎えた。
現地での撮影は今月13日にスタート。ランチタイムは今回のプロジェクトで最も重要なシーンで、津波で打撃を受け荒野となったかつてのイチゴ畑を会場に選んだ。町民約30人、学生約15人が参加した。
町民たちは切り干し大根や豚汁、煮付けなど昔ながらの地元料理を味わいながら2時間にわたって懇談。「津波で流された人から『助けて』と言われたが、どうすることもできなかった」「震災時の夜空にはたくさんの星が輝いていた。異様な美しさだった」など当時を振り返りながら、「いつまでもここに住みたい」と未来への希望を語った。
沿岸部の松林や堤防は津波で破壊され、近くには今もなお、がれきの山が点在する。スタッフの宿泊先を提供した普門寺の坂野文俊住職(49)は「自分たちはあの日のことを決して忘れてはいけない。被災地の生の声を全世界に届けてほしい」と作品に期待を寄せる。
完成作品は山形国際ドキュメンタリー映画祭などに出品する予定。音声を担当した映像学科4年の岡達也さん(22)は「人間の素の姿が見えるのがドキュメンタリーの面白さ。被災地の現状を知ってもらえたら」。学生たちに撮影アングルなどを指導したビルムート監督は「大震災を経験し大きなトラウマを抱えながらも、前向きに生きている人々の姿を世界に伝えたい」と話していた。