東日本大震災

父の死なぜ-災害に向き合い児童書出版 一時山形避難の仙台・須藤さん

2013年03月03日
子ども向けに分かりやすくまとめた「地震のはなしを聞きに行く」
子ども向けに分かりやすくまとめた「地震のはなしを聞きに行く」
 東日本大震災の大津波で古里宮城県気仙沼市の父を亡くし、一時山形市に避難していた須藤文音さん(25)=仙台市=が、イラストレーターの下河原幸恵さん(32)=同=と共に児童書「地震のはなしを聞きに行く-父はなぜ死んだのか」を出版した。地震や津波を知ることで、父の死の理由に近づきたい-。つらさを抱えながらも、大好きな家族を奪った災害に向き合った。

 須藤さんは福祉施設でケアスタッフとして働く。2011年3月11日は仕事が休み。仙台市内のアパートにいて地震に遭った。専門学校生時代にアルバイトをしていた同市の出版社「荒蝦夷(あらえみし)」の社員らに声を掛けられ、一緒に山形市に避難。気仙沼の家族と電話がつながったのは震災の6日後だった。実家は無事だったが、港で船の整備士をしていた父勉さん=当時(54)=の行方が分からず、3月26日に遺体が見つかった。荒蝦夷代表の土方正志さんや、支援に来ていた上山市出身のルポライター山川徹さんらがガソリンをかき集めてくれ、翌日たどり着いた自宅で父と対面した。

 山形市で過ごしたのは1週間弱。すぐに職場に戻って働いたが、長い間震災のことは見聞きできず、話すこともできずにいた。だが「現実から目を背けることは、父が生きていたことまでも否定しているよう」と感じ、向き合うことを決意した。

本に込めた思いを語る須藤文音さん(右)と下河原幸恵さん=仙台市・荒蝦夷
本に込めた思いを語る須藤文音さん(右)と下河原幸恵さん=仙台市・荒蝦夷
 昨年秋に取材開始。下河原さんとともに東北大や関西大の教授ら3人の元を訪れ、それぞれが専門とする地震のメカニズム、歴史、防災について話を聞いた。須藤さんが文章、下河原さんがイラストを担当、専門的な内容を子ども向けに分かりやすくまとめている。

 自らの体験もつづり「震災を追体験しているようで苦しかった」と2人は口をそろえる。父の3回忌に間に合わせたいとの思いで本を完成させた須藤さんは「でもまだ整理しきれない感情の方がたくさんある」。同時に「地震の多い日本列島に暮らす限り、誰でもある日突然被災者になるかもしれないと伝えたい。少しでもそんな意識を持って生活すれば、被害が減らせるかもしれない」との願いを込める。下河原さんは「ぜひ親子で読んでほしい。いざというときにどう行動するか、家族で会話するきっかけになれば」と話している。

 「地震のはなしを-」は荒蝦夷が編集し、偕成社が発行した。1470円。
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