東日本大震災

歩む~3.11、あの日から2年[1] 毎週被災地に通う大場美嘉さん(山形市)

2013年03月07日
被災者らと一緒に畑仕事に取り組む大場美嘉さん(中央)。「火曜日の女」と呼ばれている=宮城県南三陸町
被災者らと一緒に畑仕事に取り組む大場美嘉さん(中央)。「火曜日の女」と呼ばれている=宮城県南三陸町
 東北の姿を激変させた東日本大震災から間もなく2年。多くの県民が復興支援に携わり、県内各地に避難者が暮らす。被災地に通い続ける人、古里に帰る親子、山形にとどまる家族…。不安、決意、葛藤、それぞれの思いを抱え3月11日を迎える人々の姿を追った。

 宮城県南三陸町で親しみを込めて「火曜日の女」と呼ばれる県人がいる。山形市双月町3丁目の会社員大場美嘉さん(35)。休日を使い、ほぼ毎週現地に通い2年近く。町の状況や住民の心の変化を感じながら、被災地にとって必要な支援活動とは何かを考え続けている。

 震災発生から約2カ月後の2011年5月、同町を拠点とするボランティア団体「オージーエー・フォー・エイド(OGA)」の活動に参加したのを機に支援を始めた。主に会社の定休日の火曜日に被災地に向かい、支援物資を仮設住宅などに届けたり、OGAの農業関連プロジェクトを手伝ったりしている。

 津波被害を受けた南三陸町中心部。がれきはほぼ片付けられたものの、今もさら地が広がる。「本当に元通りになるのか」。大場さんの疑問は大きくなるばかりだ。町の再生には多くの住民の力が必要だと考えるが、復興に向けて頑張ろうとする人と、もう駄目だという人の温度差が大きくなっているように思っている。「今後は物資よりも自立に向けた手助けが重要になるのではないか」。この町に通い続けているからこそ、大場さんは被災地の支援ニーズの変化を肌で感じていた。

 「こんなに寒くて大丈夫?」「大丈夫、大丈夫。しっかり育ってるよ」。菜花が広がるビニールハウス内に笑い声が響く。2月中旬。ビニール越しには南三陸町では珍しく雪が降っているのが見える。大場さんの問い掛けに地元の男性が答える。青々と育つ菜花に目をやり、大場さんがつぶやいた。「2メートル近くの草を刈ったり、切り株の根っこを引っ張ったり、いろんなことをやったね」

 OGAのプロジェクトは被災者から無償提供を受けた荒れ地を畑にするもの。被災した農業経験者ら3人を雇用し、現在は計3ヘクタールで菜花などを栽培、出荷している。将来的に土地提供者に報酬を支払う計画だが、現状は赤字経営で活動は寄付に頼っている。それでも今年からキムチの加工販売を始めるため、地元の主婦5人を雇うなど新たな支援も展開している。

 OGAメンバーと1年以上前に知り合い、菜花栽培などの仕事をする阿部清人さん(64)は、仮設住宅暮らしを経て12年6月に隣接する気仙沼市に家を建てた。「古里を離れるのは心苦しかったが、いつまでも被災者ではいられない。少しでも生活費の足しになるのは助かる」と阿部さん。妻の礼子さん(68)は「仮設住宅を出たいと思っても金銭的に踏み切れない人も多い。仮設で女性たちは編み物や小物を作っており、こうした物を販売する支援も助かると思う」と話した。

 OGAの協力者には、高台に家があり津波被害を受けなかった住民もいる。その一人で支援物資の配布などを手助けする鈴木信子さん(57)が話してくれた。「働きたくても働けない被災者もいる。少しでも雇用の場を作ってほしい」

 大場さんの愛車の走行距離は、この2年で4万キロほど増えた。通い続けるのは待っている人がいるから。多くの人に被災地を訪れてもらい、さまざまな支援活動が生まれることも願っている。「何年かかるか分からないが、復興を見届けるまで通い続けたい」。信念は揺るがない。
(報道部・近岡国史)
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