東日本大震災

歩む~3.11、あの日から2年[2] ボランティア隊代表・本田光太郎さん(山形市)

2013年03月08日
ボランティアバスの運行について打ち合わせをする山形ボランティア隊代表の本田光太郎さん=山形市
ボランティアバスの運行について打ち合わせをする山形ボランティア隊代表の本田光太郎さん=山形市
 「あなたが初めて訪問してくれた人です」。玄関のドアを開けると、そう言って涙をこぼす人が、今もいる。山形ボランティア隊代表の本田光太郎さん(30)=山形市=は、東日本大震災の直後から被災地支援に奔走してきた。「経済的、精神的に厳しくて自殺寸前。それなのにまだボランティアに接したことのない人がたくさんいる。そんな現状を知ってしまったら、動かずにはいられない」。およそ2年を経てなお、支援が届かない被災者の存在が本田さんを走らせ続ける。

 震災直後から沿岸部に入り、小さな避難所を回ってニーズを聞いた。誰でも参加できる日帰りの「ボランティアバス」を企画、運行し、本県から宮城県石巻市へ多くの市民をボランティア隊として運んだ。さらに山形―福島間を行き来する避難者らのため定期バスも走らせた。カフェを開くという夢のために蓄えた貯金は全て支援活動につぎ込んだが「津波で全部流された人もいると思えば気にならない」と屈託なく笑う。行政からの補助金や支援者からの寄付を受け、さまざまな取り組みを継続するとともに、自分で設立した会社で事業を模索中。「借金ばかりつくっちゃって。ほそぼそとだけど(生活のため)お金を稼ぐ方も頑張らないと」

 現在の活動は4割が県内の避難者支援。天童市内などに交流の場を設けるほか、定住を望む家族と地元住民とをつなぐ役割を担う。6割は被災地支援。バスの運行など規模の大きな取り組みが注目されがちだが「個人的につながりのある人を支援する」のが基本方針だ。家族ごとに抱えている問題は異なるから「生活が元に戻るまで、物資面、精神面でお手伝いする寄り添い型のボランティアが必要」と強調する。

 被災地での活動の柱は訪問と物資配布だ。特に力を入れている対象は、辛うじて流されずに残った自宅の2階で暮らす人たちと、地元を離れ仙台市など都市部の借り上げアパートに住む避難者。ばらばらに点在する被災者らは、行政などからの物資配布や炊き出しの恩恵、情報を得にくい。畳を敷くお金がなく段ボールの上で寝ている人、一組の布団でしのぐ夫婦…。「補償はあるでしょうが、家を流されて身一つ。仕事も失い、収入がない人たちはまだ普通の暮らしができていない」

 地域を回りながら、自殺、虐待、離婚、家庭内暴力(DV)の話を耳にする。「一歩踏み込んだところまで目を向けないと、根本的な支援は難しい。だが、現状を知っている人が少ない」ともどかしげだ。避難者の所在地は広域に及び、課題は複雑化。行政もボランティア団体も全体を把握しきれていないように感じている。「現状を多くの人に伝えていくことが自分のミッション」と考えるようになった。

 ボランティアバスは不定期ながら運行を継続中。県内の高校生を募って被災地に出向く活動も始めた。現場で初めて気付く現実はたくさんある。「今だからこそ、いろんな人に関わってほしい。人がいっぱいいればできることが、まだたくさんある」

(報道部・高橋澄恵)
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