東日本大震災

歩む~3.11、あの日から2年[5] 庄内のグループ「チームはちまき」

2013年03月11日
「一歩」の形に明かりがともると、仮設住宅の住民らは2年間に思いをはせるように灯を見詰めていた=9日午後6時8分、宮城県南三陸町
「一歩」の形に明かりがともると、仮設住宅の住民らは2年間に思いをはせるように灯を見詰めていた=9日午後6時8分、宮城県南三陸町
 宮城県南三陸町歌津地区を中心に被災者支援を続ける庄内地方のボランティアグループ「チームはちまき」。東日本大震災直後から被災地に入り、今も仮設住宅を回って住民との交流を続けている。「物資が充実した今、心のケアが必要になっている」と長谷部由美代表(55)=酒田市飛鳥。震災から2年、支援の在り方は変わりつつある。

 歌津地区は沿岸部に位置する。漁業が盛んだったが、津波で壊滅的な被害を受け、ほとんどの家屋や漁船が流された。ライフラインが寸断され、住民は真っ暗な避難所で寒さをしのぐ日々を送った。長谷部代表らは有志を募って物資支援を始める。まずはタオルケットを用意したが、足りない。とにかく物が不足していた。

 8月中旬になると多くの被災者が仮設住宅に入居。これを機に活動を終えることも考えた。しかし、高齢者の孤独死が問題になっていることを知り、今まで以上に団結しようと、長谷部代表ら3人の中心メンバーがグループを結成。支援活動ごとに、庄内全域から有志を募っている。行動する強い意志を示すため「チームはちまき」と命名。物資支援と並行し、一人暮らしの高齢者や老夫婦への声掛け活動をすることに決めた。

 現在、歌津地区内には17カ所に仮設住宅があり、千人以上の被災者が、そこでの暮らしを余儀なくされている。当初に比べて生活は落ち着いたように見えるが、新しい住居の移転計画が遅々として進まず、将来への不安を抱える人は多いという。長谷部代表は「終わりの見えない仮設住宅暮らしに心が疲弊している」と被災者の現状を語る。

 そんな人たちの支えになろうと、チームでは「生きがいづくり支援」として浴衣地を使った布草履作りを企画したり、食事会を開いたりして、触れ合いを大切にした交流を続けている。中心メンバーの佐藤薫さん(56)=鶴岡市布目=は「物が足りれば終わりじゃない。前向きな気持ちになってもらうことが大切だと思う」と強調。「仮設住宅で暮らす人たちは生きがいを必要としている」と話す。

 チームは9日、千個近い手作り灯籠を持参して地区内の館浜仮設住宅を訪れ、追悼の灯をともすイベントを開催した。当初は「絆」の形にする予定だったが、住民から「前向きな気持ちになりたい」と要望があり、「一歩」に変更。みんなで協力して隣接する畑に灯籠を並べた。

 午後6時。明かりがともされ、「一歩」の文字が浮かび上がった。集まった住民たちは「本当にきれいだ」「(昨年の3月11日から)もう1年たったのか」と、ほのかに揺れる灯を見詰めていた。

 地元でワカメの養殖に取り組んでいる自治会長の三浦尚信さん(63)は「(チームはちまきは)定期的に顔を見せてくれるので心強い。でもいつまでも甘えていては駄目なんだけどね。ちゃんと自立しないと」。津波で自宅は流され、養殖場も壊滅的な被害を受けた。それでもここで生きていくと決めた。「一歩だけじゃなく、二歩も三歩も前に進まないといけない」と話した。

 「微力かもしれないが、これからも活動を続けていくことが最大の被災地支援になる」。長谷部代表は、柔らかい笑顔の中に強い決意をのぞかせた。

 (鶴岡支社・小田信博)
東日本大震災 記事一覧
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] [43] [44] 
文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内7市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2019年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2019年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から