東日本大震災

川西出身の横山さん、釜石で津波被害伝える活動 大震災から3年、記憶風化させない

2014年03月11日
震災当時の写真パネルを並べて説明する横山幸雄さん=岩手県釜石市
震災当時の写真パネルを並べて説明する横山幸雄さん=岩手県釜石市
 「100年後、さらに千年後まで大津波の恐ろしさを伝えていかなければならない」―。東日本大震災の「語り部」として、川西町朴沢出身で岩手県釜石市の横山幸雄さん(77)は全国各地から釜石を訪れる人たちに対し、3年前の大災害を伝える活動を続けている。濁流にのみ込まれ、九死に一生を得た体験を踏まえ、「もう二度と、そして誰もこんな目に遭ってほしくない」という思いが横山さんを突き動かしている。

 横山幸雄さんは置賜農業高定時制を中退後に職を転々とし、陸上自衛官となって赴いたのが岩手県。30代半ばでバスの運転手となった横山さんはバス会社を退職後、三陸鉄道の専属ガイドや観光ボランティアガイド、地元の民生委員などを長く担当してきた。釜石市の老人クラブ連合会(老ク連)事務局長として精力的に活動を始めた矢先、震災に遭遇した。

 3月11日は老ク連の事務所にいて大きな揺れを感じた。釜石湾に大津波警報が鳴り響く中、自力避難の困難な隣人が気になり自宅近くまで戻った時、津波にのみ込まれた。無我夢中で山側に倒れ掛かった電柱にしがみつき、辺りを見渡すと「家も車も船もこの世の物すべてが流されていくようだった」。必死に電柱をつかんでいた右手の甲にはくぎが6本も刺さった。2階の窓まで津波が達した自宅に何とかたどり着き、家にいた妻の得子さん(80)と共に救出されたという。

 「こうして自分は生かされた。これも運命だ」と横山さん。3年前はちょうど古里の川西町で小学校の同窓会が予定されていたが、震災の発生で出席できなくなったことを知らせると同級生から見舞金や支援物資が続々と届き「しばらく涙が止まらなかった」。釜石の老ク連にも全国の老人クラブ組織から支援が寄せられ、横山さんは「津波の体験、記憶を伝え続けることが恩返しになる」と思い立った。

かつて自宅のあった場所に立つ横山幸雄さん。震災語り部として体験を語り継いでいる=岩手県釜石市
かつて自宅のあった場所に立つ横山幸雄さん。震災語り部として体験を語り継いでいる=岩手県釜石市
 ボランティアガイドの仲間らが釜石市のほか大船渡市、陸前高田市などで岩手県内で撮影した生々しい津波襲来の映像を1時間半ほどに編集。仮設住宅の不便な生活の中で昨年、DVD300枚をコツコツ手作りし、今年に入って全国の老ク連事務局や小中学校時代の同級生に配った。

 被災地の視察に訪れる人たちには、手製の写真パネルを駆使しながら震災語り部として体験談を伝える日々を送る。「津波の恐ろしさはいつか忘れられる。内陸に住む人たち、そして孫の孫の世代までも少しでも伝わるように地道に語り続けたい」

 3年前のあの日から、横山さんの目は真っすぐ未来を見つめている。
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