東日本大震災

山形の福島っ子[8] 本社アンケートから(下)

2014年03月12日
 「私ってわがままでしょうか」

 福島市から避難している中学1年の女子生徒がアンケートに書きつづった。

 「山形の高校に進学したいと思っています。でも親は高校になったら福島へ帰ると言います。どうしたらいいでしょうか。福島で友達と別れたように、山形でも仲の良い友達と別れたくありません。かといってうちにはこっちで一人暮らしするようなお金もないのです」

*「仲良し」の存在
 避難元に帰りたいか、帰りたくないかの設問で、この女子生徒は「帰りたくない」を選んだ。「2度と同じ思いをしたくない」と理由を記し、小さな文字で「助けてください」と書き添えた。

 東日本大震災と福島第1原発事故で避難を余儀なくされたが、古里の家族、友人と離れて暮らす寂しさを抱えている。一方で、山形の新たな友達との関係を大切にしている。本紙のアンケートで、こうした子どもたちの心情が浮かび上がった。

 古里に帰還する意思について、子どもたちの回答はほぼ二分した。「帰りたい」が45%で、「帰りたくない」が47%。設問は2択だったが、残りの8%は両方を選んだ。

 帰りたい理由(複数回答)では「元住んでいたところが好き」が最も多く37%で、「仲良しの友達がいる」が26%。「家族が一緒に暮らせる」が22%で続いた。

 帰りたくない理由(同)としては「仲良しの友達ができた」が最多の32%。次いで「山形が好きになった」「放射能が心配」がそれぞれ19%だった。

 帰るか帰らないか。選んだ回答は異なっても、理由として目立ったのは「仲良しの友達」の存在。記述回答からはさらに具体的な思いがうかがえる。

 「帰りたくない」を選んだ中学1年男子(福島市)は自由記述に「突然の引っ越しで3年たっても悩んでいる」と書き、小学5年女子(同)は避難元の友達と離れて寂しいとする一方で「帰ったときにみんなとちゃんと話せるか不安。福島の友達としっかりなじめていけるか不安」と複雑な心境をつづった。仲良しの友達ができたという小学2年男子(福島県郡山市)は「慣れるまで大変だったが、今は楽しい」と記載した。

 「帰りたい」を選んだ子どもたちには迷いも見られた。中学2年女子(同)は「最近福島の友達と会いたくなる。帰りたいと思うが、山形でもすごく大事な親友ができたので帰りたくない気もする」。逆に小学4年女子(同県南相馬市)は「山形でも大丈夫だけど、本当は帰りたい」と心情を明かした。中学2年女子(福島市)は「健康被害が出ると思うと帰れない」と放射能の影響を心配する。「祖父母に会いたい」(小学1年男子、同県二本松市)という思いもつづられていた。

*悩み抱え込み
 帰りたい、帰りたくないという意思があっても必ずしも両親に伝えられているわけではない。「わがままが言えない」(中学2年女子、福島市)「家族に言えないことがあって悲しい」(小学4年女子、同)という記述もあった。冒頭の女子生徒のように、家庭の事情を気に掛け、悩みを内に抱える様子がうかがえる。一方で「(アンケートに答えることで)精神的負担をかけたくない」という母親の意見も寄せられた。

 本県に避難した子どもたちは友人関係を育み、成長を重ねている。先行きの見えない避難生活。原発事故は子どもたちに大切な人との別れを強いた上、進路など人生の選択にも影響を与えている。

(震災問題取材班)
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