東日本大震災

刻む3・11~震災4年「あの時」の県内(6) 日本赤十字社県支部―被災隣県を全面支援

2015年03月10日
毛布をはじめ、海外から大量に届いた物資。職員は仕分け、積み替え、配送にフル回転で対応した=2011年3月21日、山形市・日本赤十字社県支部
毛布をはじめ、海外から大量に届いた物資。職員は仕分け、積み替え、配送にフル回転で対応した=2011年3月21日、山形市・日本赤十字社県支部
 「仙台はどうなっているんだ」。東日本大震災発生から5時間後、日本赤十字社県支部の局長として当時、被災地支援の陣頭指揮を執った結城博史相談役(64)は声を上げた。発生直後から仙台市の宮城県支部に電話を掛け続けたが、つながらない。テレビなどでは、現地の詳細な状況が入ってこない。「安全は確認できないが、待つよりも動いてみよう」。先遣隊として職員2人の派遣を決断した。

 到着した職員の情報などが基になり、宮城県支部、福島県支部ともに人的、物的な面で十分な機能を果たせないことが分かった。特に宮城県支部はライフラインが寸断され、食料も不足していた。災害支援や医療救護に当たるスタッフを含め、誰もが疲弊していた。

配送屋に誇り
 態勢を整え、13日からは宮城県支部の職員、全国から応援に駆け付けた赤十字スタッフらに対し、山形市から朝夕の1日2回、おにぎりや水などを運んだ。県支部独自の判断だった。「生きるために必要なものが求められている」。輸送は若手職員が県支部の所有するトラック2台を交代で運転してフル稼働で対応。3月末までで運んだ食料は延べ約2300人分に上った。

 「うちは配送屋になっていた」。結城相談役は誇らしげに当時を振り返る。必要とされるものを供給し続けられるのは隣県の自分たちしかいないことを認識していた。「災害で苦しんでいる人を支援するのは、赤十字社の使命だ」

 海外から寄せられた毛布などの物資は、東京の日赤本社を通じて大量に届いた。被災地には備蓄するスペースがないため、一時的に本県を経由してから配送。県支部の施設だけでは受け入れきれなかったため、民間の倉庫を借りて山形市村木沢に救援物資配送センターを設置した。

 床面積約830平方メートルのセンター内はタイやカナダからの毛布、パナマからの水、中国からのかゆなどが積み上げられた。品質に問題はないが、麻袋で包装されたものなど、そのままの状態で被災者に届けることがためらわれるような物資も。同僚と共に物資の仕分けや段ボールへの積み替えなどを担った事業推進課の長谷部儀典さん(41)は「受け取った側の気持ちも大切にしたかった。いわば『気持ちの支援』だったと思う」と語る。

 物資と受け入れ先とのマッチングにも気を配った。発生直後はどんなものもありがたがられたが、状況が変わることで不要となるものが出てくる。避難所から仮設住宅へ移れば、毛布などは決まった枚数があれば十分だ。被災者のニーズをつかんで、求められてい

る所へ物資を届ける-。事前の聞き取りを重ね、物資を有効活用することに努めた。

全国の先例に
 県支部の取り組みは全国の先例となった。日赤は物資貯蔵などの拠点施設を全国各地に整備。昨年1月には、県支部近くに山形ロジスティクスセンターが完成した。震災の教訓は現実の形となって生かされた。

 長谷部さんは「災害がないに越したことはない」とした上で「防災意識の向上をはじめ、経験を教訓にしていかなくてはいけない」と力を込める。震災を悲劇で終わらせないため、次の一手を打つための努力が続けられている。
(3・11取材班)
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