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[37]自動車部品製造 アイ・ティー・オー大石田工場(大石田)

2015年11月01日
ナックルアームの仕上げ作業。常に図面や文書通りの製品作りが求められる=大石田町
ナックルアームの仕上げ作業。常に図面や文書通りの製品作りが求められる=大石田町
 毎回、誤差の少ない形状の物をどのように作り続けるか―。大石田町今宿で自動車部品を製造するアイ・ティー・オー(伊藤博一社長)の大石田工場では主に、トラックの足回りに装着し、ハンドルの動きをタイヤに伝える重要保安部品を手掛けている。不具合があれば人命に関わる部品なだけに、常に同じ製品を作る標準化の作業が求められ、その目的を達成するためのミス防止の取り組みが日々の業務の要となっている。

■世界に流通
 トラックや建設機械など約千の取り扱い部品のうち、主に手掛けるのは大手「いすゞ自動車」のトラック「エルフ」に取り付ける重要保安部品「タイロッドアーム」と「ナックルアーム」。トラックを一目見ただけではどこに付いているか分からない地味な部品だが、現在、年間約15万台が造られるエルフの保安部品の生産は、ここで一手に引き受けている。その7割は左ハンドルの車両に装着する輸出用。世界に流通するトラックのこの部品は全て「大石田ブランド」になっている。

 宮城県村田町にあるいすゞ自動車の下請け「TDF」が作った保安部品の素材を預かり、トラックに取り付けるための穴やねじを加工し、TDFに納入している。保安部品の製造ラインは大きく三つ。4トン用と2トン用の各ナックルアームと、タイロッドアームの工程だ。いずれも穴開け、ねじ加工、外形加工など7工程がある。加工機械を使うため、一つの工程に必要な時間はナックルアームが約3分、タイロッドアームが約2分と短いが、それぞれに品質標準化のため踏まなければいけない手順や確認作業があり、手順の取り違えや確認のし忘れは許されない。

アイ・ティー・オー大石田工場で製造されているナックルアーム(左)とタイロッドアーム
アイ・ティー・オー大石田工場で製造されているナックルアーム(左)とタイロッドアーム
 工場を仕切る斉藤久男常務(68)は「組み付ける相手の部品にぴったり合う製品を作らなければならない。そのために決め事をつくって、守って、誰が手掛けても同じ物ができなければならない」と語る。

■その都度改善
 不良品の流出はあってはならないことだが万一、不良品が発生した場合もその部品を誰がいつ作り、いつ納品したのか―といった製造データを約15分でさかのぼって親会社に報告しなければならない。今後のミス防止に生かすためだ。

 ミスの種類は、手順のすっぽかし、機械の故障による加工不十分、確認の見落としなどさまざま。こうしたミスが起きた場合、形状の確認にコンピューターによる画像チェックを導入するなど、その都度、改善策を取っている。

 工場では人が起こすヒューマンエラーについて10種類に集約し、社員に周知している。例えば、気の早さや勘違いが引き起こす「ガッテンミス」、アマチュア的なやり方で犯す「アマミス」、この程度なら構わないと、勝手に決め込んでルールを無視する「カッテミス」、自分でもどうしてこうなったか分からず発生する「ポカミス」―などだ。斉藤常務が読んだ書籍を基に作ったものだ。月曜の朝礼にはミス防止の注意点を指さし呼称し、さらに社員の意識を高めている。

 仕上がった製品を検査する、品質管理の社員もいるが、検査によってミスを発見するというよりも、作業員が一つ一つの製品を作り込む、その時々の集中力が重要になるという。

 斉藤常務は「当工場で扱う保安部品は走る、止まる、曲がるという自動車の3要素のうち、止まる部分と曲がる部分の役割を担っている。不良品が流出して人に迷惑を掛けることのないように細心の注意を払っている」と語る。出荷先から「不良品の流出が少ない」と評されるのは、日々のひた向きな品質管理のたまものだ。(ものづくり取材班)

アイ・ティー・オー 1941(昭和16)年、自動車部品製造の美吉製作所として創業。2000年、同社の業務を継承して設立した。本社は東京。大石田工場のほか、住宅フロアの土台に使われるコイルドパイプを手掛ける尾花沢工場がある。従業員25人。
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