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[40]フェライトなど製造 日本重化学工業酒田事業所(酒田)

2015年11月29日
 高度化した現代社会。人はディスプレーや携帯電話の画面を見詰め、車や航空機、船舶を利用して往来する。さまざまな電子機器が日常生活を潤す。創業から約100年、日本重化学工業(東京都中央区、増田一樹社長)は、電子部品製造に不可欠な磁性セラミックス材料「フェライト」を国内外に供給。酒田事業所(酒田市、吉岡孝一所長)が生産拠点を担う。

原料から製品までの一貫生産で高品質のセラミックス製品を製造する=酒田市大浜1丁目、日本重化学工業酒田事業所
原料から製品までの一貫生産で高品質のセラミックス製品を製造する=酒田市大浜1丁目、日本重化学工業酒田事業所
 合金鉄事業を中核にする日本重化学工業。本県の酒田、小国両事業所などを構え、合金鉄技術をベースにした電子材料、フェライト、セラミックスなどの機能材料、エネルギー発電などの事業を展開する。小国事業所は、各種電池用電極などに使われる水素吸蔵合金、金属クロム、高純度コバルトといった電子材料の製造を行っている。

 酒田事業所はフェライトやセラミックス製品、レアアース(希土類)メタルを製造。「フェライト」は、電源トランスやノイズフィルター、電波吸収タイルなど各種電子部品を生産するために使われる。永久磁石になる「ハードフェライト」と、磁界に近づけたときだけ磁性体になる「ソフトフェライト」の2種類がある。このうち、酒田事業所は「ソフトフェライト」を生産している。

■リサイクル原料
 原料は鉄鋼メーカーで副生される酸化鉄などを使用。約千度の炉で焼成した粉を1~2ミクロン(1ミクロン=千分の1ミリ)まで粉砕する。その後、バインダー(のり材)を添加し、噴霧乾燥することで数十~数百ミクロンの顆粒(かりゅう)にする。一部はシート状に塗布する粉末状で出荷されるが、球体の顆粒に加工するのは、金型に流し込みやすくするためだ。圧力をかけるとのり材の働きでフェライトが金型の形に固まり、上質な焼き上げを可能にする。

 ソフトフェライトは、電子機器によって周波数や使用温度などの必要な特性が変わる。酒田事業所は、酸化鉄などの原料配合ノウハウと粉砕技術の高さで、電磁気特性や顆粒サイズなどを調整している。

 トランスは電圧変換に用いられ、電力損失の少ない品質が大切になる。ノイズフィルターはソフト磁石の性質が電子回路のノイズを抑制し、誤作動を低減する。電波吸収タイルは電波を反射せずに取り込み、熱エネルギーに転換して吸収する。液晶パネルのバックライトや白色有機ELの発光、高速デジタル通信に不可欠な部品で、スマートフォンやパソコン、テレビ、自動車など用途は幅広い。

自動車産業、市民生活を支える数々のセラミックス製品が並ぶ
自動車産業、市民生活を支える数々のセラミックス製品が並ぶ
 セラミックス事業は、溶けたアルミニウム溶湯温度を測る「熱電対」や溶湯温度を保つヒーターを守るための保護管、炉内にたまった水素を追い出す脱ガス部材などを供給。原料の窒化ケイ素から製品化までを一貫して手掛け、効率の良い熱伝導性、優れた耐熱性の製品を生み出している。

 さまざまな排出物が集まるごみ焼却炉は近年、発がん性物質抑制を目的に、高温燃焼方式が採用されている。発生するガスによる腐食や摩耗といった課題に対応するため、金属クロム製の熱電対保護管を開発。アルミニウムが必要な自動車産業のほか、市民生活と密接なごみ焼却炉を支えている。

■希少金属に注目
 成長分野とにらむのが、レアアース。小国事業所のバッテリーリサイクル事業と連携し、バッテリーや磁石からネオジムなどのレアアースメタルを抽出、製造する事業を2010年から始めた。産出量が限られる希少金属は海外依存度が高く、価格変動や輸入量増減のリスクを抱える。有限の資源を再生し、供給の安定化を目指している。

 酒田事業所が立地する酒田港は総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)に位置付けられている。「酒田港はリサイクル関連産業の集積が進められている」と吉岡所長。強みとするリサイクル技術力を武器に、酒田港の特徴が新分野開拓の可能性を広げている。

(ものづくり取材班)

日本重化学工業酒田事業所 小国事業所の翌年の1939(昭和14)年から合金鉄の生産を開始。フェライト、セラミックス、レアアースメタルの製造のほか、ゴルフ練習場を運営する。敷地面積約6万1500平方メートル。従業員数73人(今年10月末現在)。
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