その先へ

[42]オーダーメードで機械製造 太陽機械製作所山形工場(寒河江)

2015年12月13日
 ドイツのグーテンベルクは1400年代、金属活字を用いた活版印刷機を考案した。書物の大量出版を可能にし中世ヨーロッパに知識の拡大をもたらした印刷技術は、火薬、羅針盤とともにルネサンス期の三大発明とされる。時代とともに印刷の活用範囲は広がり、現代生活においては印刷と無関係なものを探すのは難しい。

 太陽機械製作所(岡倉登社長・本社大田区)は1961(昭和36)年創業の印刷機械メーカー。あらゆる印刷に対応する機械をオーダーメードで製造する。製品は世界50カ国以上に輸出され、各国の産業や文化の発展を後押ししている。

 同社の製造拠点が寒河江市にある山形工場(菖蒲久雄工場長)だ。役員に同市出身者がいた縁で84(昭和59)年に設立した。当初は機械の装置部分を製造し東京工場に供給していたが、現在は山形工場が製造の全工程を担う。

同社のフレキソ印刷機で製造されたフィルムの見本品。同技術を駆使して有機エレクトロニクスにも参入する
同社のフレキソ印刷機で製造されたフィルムの見本品。同技術を駆使して有機エレクトロニクスにも参入する
■7割“県産品”
 ひとくちに印刷といっても、オフセット、凸版、スクリーンなど技法はさまざまあり、紙や樹脂性フィルムなど印刷する素材も多種多様。インクの種類も多岐に及び、最終製品の大きさ、形状も千差万別。同社は客のニーズに柔軟に対応するため、部品の製造も自社工場で手掛ける。グループ会社からの調達を含めると約7割が“県産品”という。受注生産ゆえ細かな設計変更も多いが、開発スタッフの半数が山形工場に在籍し、設計から製造までの一貫体制で顧客の要望に対処する。

 同社の強みは型抜きや折り込み、貼り合わせなどの加工機械製造技術にも長(た)けていること。印刷から成型まで一貫したラインを築くことができ、作業効率の向上に寄与する。「さまざまな印刷に対応する機械を組み合わせて付加価値の高い製品を提供している」と岡倉社長。同社製品を採用した企業が再び発注するリピート率は90%に上るという。

 「守秘義務があり詳しくは言えない」(菖蒲工場長)が、コンビニで人気の軽食や広く普及する飲料品の容器、宅配業者の配送伝票など、同社の機械で製造された製品は生活の至る所にある。

太陽機械製作所が手掛ける印刷機械は大半がオーダーメード。山形工場で作られた機械が世界各国で稼働している=寒河江市中央工業団地
太陽機械製作所が手掛ける印刷機械は大半がオーダーメード。山形工場で作られた機械が世界各国で稼働している=寒河江市中央工業団地
■有機EL分野
 印刷技術は、次代の暮らしや産業構造を変えるとされる有機エレクトロニクス分野でも大きな期待が掛かる。薄くて曲げられる利点がある有機EL(エレクトロルミネッセンス)や有機トランジスタなどの製造に際して低コスト化や大型化を実現する上で、印刷技術が不可欠なためだ。同社は山形大有機エレクトロニクス研究センターと連携し、有機デバイス(部品・機器)の試作が可能な印刷機を開発。卓上型の機械も製造し、今年の国際総合印刷機材展に出展した。

 岡倉社長は「100年企業を目指すための挑戦。まだ採算が取れる分野ではないが有機エレクトロニクスイノベーションコンソーシアムに参加するなどして力を蓄えている」と話す。従来の印刷の場合、品質精度の許容範囲は10分の1ミリ程度だが、有機エレクトロニクス分野では100分の1ミリレベルの精緻さが求められる。ものづくりの総合力が問われる新たなチャレンジ。菖蒲工場長は「山形から世界に向けて、よりよい製品を出していきたい」と従業員の思いを代弁する。
(ものづくり取材班)

太陽機械製作所山形工場
 1984(昭和59)年に設立。寒河江中央工業団地内にあり敷地面積は1万6500平方メートル。太陽機械製作所の全従業員の約3分の2に当たる100人が勤務する。
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