挑む、山形創生

第1部「働くということ」 (4) サイエンスパークの挑戦<下>

2016年01月05日
鶴岡市先端研究産業支援センター屋上から、造成工事が進むサイエンスパーク建設現場を視察する「YAMAGATA DESIGN」の山中大介社長(左)とスタッフ=昨年12月25日、鶴岡市覚岸寺
鶴岡市先端研究産業支援センター屋上から、造成工事が進むサイエンスパーク建設現場を視察する「YAMAGATA DESIGN」の山中大介社長(左)とスタッフ=昨年12月25日、鶴岡市覚岸寺
 慶応大先端生命科学研究所(先端研)、バイオベンチャー企業「Spiber(スパイバー)」などが立地する鶴岡市覚岸寺周辺の「サイエンスパーク」。今ここが、新たな街づくりの舞台となっている。グローバルな競争力を持つ産業、交流人口の拡大、充実した子育て環境。三つのミッション達成に向かって突き進むサイエンスパークの挑戦は、地域主導による地方創生の一つのモデルケースともいえそうだ。

■利益優先疑問
 サイエンスパークの起こりは鶴岡市が1999年、地方拠点都市法に基づき、整備構想を打ち出したことだった。全体21.5ヘクタールのうち未整備の14ヘクタールの開発を現在手掛けているのが、「完全地域主導」を掲げて2014年8月に設立された総合デベロッパー「YAMAGATA DESIGN(ヤマガタデザイン)」。先頭に立つのは、三井不動産(東京)出身の山中大介社長(30)だ。

 先端研の冨田勝所長(58)やスパイバーの関山和秀代表執行役(33)と親交があった山中氏は、14年5月に鶴岡市に移住。前職では郊外型大型商業施設の整備などに関わり、やりがいを感じていた半面、地域の豊かさよりも開発企業や投資家の利益が優先されることに疑問を感じていた。大企業を退職、家族を伴って地方への転居を決断した。

 昨年8月に開発事業が本格スタート。研究開発・生産施設用の区画、宿泊・滞在施設、子育て支援施設の3エリアに加え、医療機関や地元農産物の支援機能を整備する計画。建築界のノーベル賞とされる米プリツカー賞受賞者の建築家坂茂氏(東京)がデザイン・設計を担当する。約100億円を見込む総事業費にも一定のめどが立ったといい、18年春の「街開き」を目指す。

■学ぶ国際感覚
 現在は土地の造成が進んでいる段階。計画が順調に進めば、国際競争力のある企業の立地、そこに隣接し研究者やビジネス客らにとって利便性が高く、観光客の誘致も見込むホテル、地域の幼児から小学生までが国際感覚を身に付けられるような学びの場が生まれる。

 スパイバーで海外企業との調整役などを務める米国出身のマイヤー・ダニエルさん(28)とリオビス・アレックスさん(28)は、同社に次々と外国出身者が入社している現状に触れた上で「鶴岡は自然豊かで素晴らしいところだが、日本語が話せないと生活する上での不便も少なくない」と指摘。教育環境の充実をはじめ、私生活の面でもサイエンスパークに対する期待感は大きい。

 「本来であれば多くの人は生まれ育った地域に戻りたいはず。今われわれがやっている仕事は、東京のものよりはるかに面白い。参加したいと考える人はどんどん増えていくと思う」と語る山中氏。今年はドバイや東京からもUターンで仲間が加わる予定だ。地域が自らに投資をすることで、自ら意思決定できる新たな街づくり。このモデルが実現すれば、全国の他の地方都市にも波及する可能性を秘める。だからこそ、言い切れる。「サイエンスパークは、始まりなんです」
(「挑む 山形創生」取材班)
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