挑む、山形創生

第2部「雪」 (2) 道路除雪(上)

2016年02月18日
夕方の通勤・通学時間を激しい降雪が直撃した1月18日の山形市内。夜になっても除雪車の出動がなく道路の機能不全が続いた=午後10時40分、山形市緑町3丁目
夕方の通勤・通学時間を激しい降雪が直撃した1月18日の山形市内。夜になっても除雪車の出動がなく道路の機能不全が続いた=午後10時40分、山形市緑町3丁目
 圧雪で凸凹ができ、ハンドルを取られないよう低速で走行する車が長い列をつくった。車は凸凹を乗り越えるたびにガタンガタンと揺れ、まるで波間の小舟や遊園地のアトラクションにでも乗っているかのようなありさまだ。住宅街の路地では軽自動車が新雪にタイヤを取られ、あちこちで車を押す人の姿があった。

 先月18日、夕闇に包まれた県都・山形市はおよそ雪国とは思えないような除雪対応で、大変な道路事情に見舞われた。

 同様の機能不全は2012年2月にも起こった。このときは激しい降雪が、朝の通勤・通学時間を直撃した。渋滞悪化を懸念し除雪車の出動を見合わせたため路肩の積雪にはまって動けなくなる車が相次いだ。

 先月18日と4年前の混乱に共通するのは通勤・通学時間帯の激しい降雪だ。山形市は中心部などでは、交通量が多い通勤・通学時間帯を避け、交通量の少ない未明から早朝にかけて一斉に除雪する。いずれも、これが裏目に出た。

 18日夜に降り積もった雪は翌日未明に一気に除雪車が片付け、各戸の間口に大量の雪塊が取り残された。湿り気を含んだ重い雪で、多くの市民がその後片付けにも苦慮した。

■「雪は災害」
 「忘れてならないのは、うちにとって雪は災害だということ」。毎シーズン、2メートル近い積雪がある尾花沢市の担当者はこう言い切る。同市では56台の除雪車で総延長約200キロの市道を掃く。基本的に午前2時から7時にかけて行われ、積雪が見込まれる場合は、市の指示で業者が午前中にも再出動する。

 市民の要望も厳しく、雑な作業には「雪を家の前に置いていくな」「前とやり方が違う」といった苦情が寄せられる。オペレーターは除雪車の板の角度を調整し各家に雪を残さないよう心掛け、路面の凸凹やわだちの原因となる圧雪状態の雪を「むく」作業をし道路環境を維持している。

 各地区の区長と連携し、公園や空き地などの「雪押し場」を市内で約千カ所確保していることも、スムーズな除雪体制を下支えしている。

 除雪は自治体の広さや道路延長、何より降雪量などによって取るべき対応も態勢も異なる難しい問題だ。尾花沢市のように道路除雪への対応を整えていても人口流出は深刻で、これだけが人口減少の要因でもないし、財源的な課題もある。大雪に見舞われた11年度、山形市は約10億5千万円の除雪費用を支出したが、国から配分された特別交付税はわずか2億3700万円。13年度は約6億7千万円を除雪に費やしたが、特別交付税はゼロだった。

 山形市道路維持課の担当者は「排雪まで実施しようとすると、除雪費用は倍ではきかない」とため息をつく。「限られた予算の中で道路を通行可能にすること」が除雪に対する基本的な考え方といい、行政サービスによる限界を指摘する。

■諦めと矛盾
 それでも県都で繰り返される雪による機能不全には行政の諦めや制度の矛盾が現れてはいないだろうか。 昭和初期、「雪害」を提唱したのが本県選出の衆院議員だった松岡俊三。「近代日本と雪害」(東北大学出版会)で、著者の伊藤大介氏は雪の弊害を政治的に解決するという主張は古くから雪と共に暮らしてきた人々にとって簡単に理解できるものでなく、雪の少ない地域の人々にとっては想像もできないものであったと思われると指摘する。

 運動の背景について、近代になり情報や交通などの整備が進み、雪が邪魔者になったことに加え、国民の権利要求の高まり、恐慌や凶作による農村問題の政治問題化など社会の動きがあったとも記す。

 雪の弊害を致し方なしと受け止めていた東北にあって、民主化の流れとも相まって「雪害」を唱え、生活環境の改善や格差解消、地域振興を訴えた松岡。時を超え、われわれは「雪害」に挑んだ先人の気概を忘れていないだろうか。
(「挑む 山形創生」取材班)
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