挑む、山形創生

第3部「よそ者」の視点(3) 田口比呂貴さん(鶴岡)

2016年03月30日
鶴岡市大鳥地区で開かれた交流サロンにお手伝いとして参加する田口比呂貴さん(右)。参加者からは「私たちの子どものような存在」との声も
鶴岡市大鳥地区で開かれた交流サロンにお手伝いとして参加する田口比呂貴さん(右)。参加者からは「私たちの子どものような存在」との声も
 ―地域おこし協力隊の任期を終える今年5月以降も鶴岡市大鳥地区で暮らすそうですね。

 「人口が流出する村で生きる魅力を感じながら働く。それを実践し発信することで、人が集まってくれたらうれしいと考え活動しています。農業をはじめ山菜採り、クマ狩りなどを通じて生計を立て、引き続き山の中に身を置いた暮らしを発信していきたいと思います」

■暮らしの知恵
 ―荒沢ダムの上流に位置し人口約80人、高齢化率75%近い大鳥地区で暮らす魅力は。

 「自然ってレジャーと結び付けられることが多いですよね。でも、大鳥での自然は暮らしの糧であり、良い面ばかりではありません。地元猟友会に所属していますが、命拾いした経験もあります。きれい事ばかりではない現実があり、自然の中で生きる醍醐味(だいごみ)、面白みを感じています」

 「四季の移ろいに合った暮らしの知恵を教わることが多いです。山菜は採れるだけ採るのではなく、来年、再来年のことを考えて残しておく。春の田植え、秋の収穫など、みんなで作業する際は決まった時間に休憩を取ります。お茶を飲みながら眺める見慣れた景色が自分の中で消化され、気持ちが安らぐのを覚えました。景色が暮らしの一部になっているという感じでしょうか」

■目新しさない
 ―都会育ち。戸惑いはありませんでしたか。

 「1人暮らしは大鳥が初めてでした。朝が苦手で、遅くまで寝ていたら、ごしゃがれました。地元の人たちは山菜シーズンになれば日の出前の午前4時に起きて山へ行き、日が沈む前に家に戻る。午後8時か9時には寝てしまう。体のサイクルがそうできている。自分も慣れてきました」

 「おじいちゃん、おばあちゃんたちの言葉を残し、伝えたいと考えています。話し言葉そのものも大切ですが、現代ではうまく伝わらない部分も多いと感じます。現代の言葉に置き換えながら、自分なりに山の暮らしを再定義したいです」

 ―地方創生をどう受け止めていますか。

 「全国各地の自治体がこれまでも取り組んできたことですよね。目新しい感じはありません。ただし、自分たちのような地域おこし協力隊にお金を使って、人材育成に目を向けた点は新しいと思います」

 ―山形に目を向けて感じることは。

 「人口減少で規模が小さくなった個々の地域コミュニティーが集まり、広域化する動きがあります。その際、地元の人たちだけで運営するのではなく、外からも人材を加えてほしい。経済活動を見ても、顔が見える範囲で完結しているように映ります。全てオープンにする必要はないけれど、できるところから進めてほしい。若い人を呼び込むには、若い人が必要。逆にお年寄りを連れてくるには、お年寄りの視点が大切。大鳥は10年、20年先には人口が50人、40人になるかもしれない。それでも年に数回、遊びに来る人が増えるようにしたい。人が流動することは大切だと思います」

【共通質問】山形ってどんな感じ?
(1)山形のどこを全国にPRしたらいい?

▽国内でなく世界を視野に都会にはない豊富な食材、山伏など特色ある文化を発信して

(2)山形の悪いところ、改善した方がいいところは

▽言葉や文化が違う4地域を一つの県と捉えることに無理があるのではないか

(3)山形らしさを一言で

▽メシがうまい

 たぐち・ひろき 1986年11月生まれ、29歳。母親の里帰り出産で村山市に生まれる。会社員の父親の転勤で幼少期を東京、小学校から高校までを大阪で過ごす。法政大を卒業後、都内にある電子部品メーカーの営業所に2年間勤務。2013年5月から鶴岡市大鳥地区で暮らし、3年の任期を終えた今春以降も定住する。
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