挑む、山形創生

第5部大学生の力(2) 県内各大学の取り組み

2016年06月01日
経営者の姿勢を肌で感じ、リーダーシップなどを身に付ける東北公益文科大の社長インターンシップ。2012年度から継続して行われている=2012年6月、三川町
経営者の姿勢を肌で感じ、リーダーシップなどを身に付ける東北公益文科大の社長インターンシップ。2012年度から継続して行われている=2012年6月、三川町
 「子どもやお年寄りの声が聞こえるような芸術祭にしたい」。今年4月、山形市の東北芸術工科大であった記者会見。「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2016」に向け、芸術監督を務める絵本作家荒井良二さん(同市出身)が思いを語った。地域を巻き込む芸術祭が再び開かれる。

新しい豊かさ
 山形国際ドキュメンタリー映画祭と併せて、山形を「芸術文化創造都市」としてブランディングする狙いもある。「交流人口、活動人口を増やし、クリエーティブ(創造的)な人材が集まる都市にしたい」と五十嵐真二常務理事は話す。

 全国896市町村を「消滅可能性都市」と位置付けた日本創成会議の試算を引き金に高まった地方創生の機運。全国の自治体が総合戦略を策定し、人口増の目標を盛り込んだ。だが、人口減少は今に始まったことではない。

 本県の場合、1990年の125万人が10年後に124万人、20年後に116万人、今年5月1日現在では111万人まで落ち込んだ。現実的に見れば、「増やす」施策の実現性は不透明だと言わざるを得ない。

 人口が減っていく中でも、「芸術・デザインの力で地方の新しい豊かさを創造できる」。芸工大はそう考える。軸となるのは「人」。定住人口の減少に対し、創造的に暮らす活動人口、芸術を介した交流人口を増やすことに可能性を見いだす。芸術祭も試みの一つだ。

社長から学ぶ
 大学の本業ともいえる人材育成は、地方創生のキーワードの一つとなる。東北公益文科大は、2012年度から「社長インターンシップ」を展開している。学生が“かばん持ち”としてトップの姿勢を間近で見学し、リーダーシップなどを身に付ける取り組みだ。

 期間は基本的に5日間で、体験内容は受け入れる社長によって異なる。商談や接待、社内会議への同席のほか、中には社長宅にホームステイする例もあるなど、通常のインターンシップ(就業体験)とは一線を画す。「決断する時間よりも決断するための情報収集の時間が長かった」。社長インターンシップで商談に同席した学生の声だ。担当の庄内オフィス長の鎌田剛准教授は「こうした声こそ、社長と四六時中一緒にいて初めて気付けること」と指摘する。

 目指すのは卒業後に就職先の企業や地域で課題に直面した際、率先して解決に取り組み、企業の業績改善、地域活性化の一助になるような人材。学生の成長をより高めるために力を入れているのが事前学習だ。業界の概要や企業の沿革、業務内容などを学習し、自分なりにどういう実習に取り組みたいかを「事前学習ノート」にまとめさせ、個別指導を行う。「学生に丸腰で体験させない」(鎌田准教授)のがこだわりだ。

地元知る課程
 山形大も人材育成に力を入れている。13年度から文部科学省の地方創生関連事業を展開。昨年度からはより地方に根差した活動で、若者の県内定着や新たな雇用創出などを目指した同省の「地(知)の拠点 大学による地方創生推進事業(COC+)」を進める。

 1年時などに受講する基盤教育でも山形を知るカリキュラムを用意。2、3年生には地元企業などでのインターンシップを経験させ、19年度までに卒業生の県内就職を現在の250人から350人にまで増やすことが目標だ。

 ただ、インターンシップにも課題は多い。企業などによって経験させる仕事の内容も異なる。「山形で働こうと思うようになる学生もいる一方で、『やはり東京の方がいい』と思う学生もいるかもしれない」と同大COC推進室コーディネーターの堀内史朗准教授。就業体験などに積極的に取り組む学生は意識が高く、優秀な学生が多いが「そういう学生は条件の良い都会の企業に取られてしまうことも多い」という。
(「挑む 山形創生」取材班)
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