挑む、山形創生

第6部食で呼び込む(2) 料理人がけん引

2016年07月21日
活動内容などを語る「食の都庄内」親善大使。食を通じた地域振興に向けて腕を振るっている=今年6月、酒田市・酒田産業会館
活動内容などを語る「食の都庄内」親善大使。食を通じた地域振興に向けて腕を振るっている=今年6月、酒田市・酒田産業会館
 食を観光に生かそうという動きは全国各地で活発化している。料理は感動を生み、その地の魅力となる。インターネットなどですぐさまうわさが広まる時代。評判を聞き付けて観光客が集まり、地域が盛り上がる。その好循環の要になるのが料理人だ。

■高まる認知度
 「庄内を食の都にしましょう」。庄内地方の豊かな食を発信し、地域振興につなげる「食の都庄内」づくりは2004年度、鶴岡市のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」の奥田政行オーナーシェフの一言から始まった。当初こそ全国的な知名度はほとんどなかったが、今や大手検索サイトで「食の都」と入力すると、大阪や京都を抑えて上位に表示されるほど認知度は高まっている。

 取り組みを先導しているのが、庄内のこだわり食材をPRする「食の都庄内」親善大使だ。奥田シェフのほか▽レストラン「ロアジス」(酒田市)グランシェフの太田政宏さん▽元東京第一ホテル鶴岡総料理長でフードコーディネーターの古庄浩さん▽元ベルナール酒田総料理長で日本料理研究家の土岐正富さん―の3人が務める。

 構想以前、庄内の知名度について土岐さんは「ぴんとくる人はほとんどいなかった」。親善大使になってからは、これまで培ってきた人脈を生かし、ミシュランの三つ星日本料理店などを何度も訪問。庄内産食材を積極的に売り込み、実際に野菜を扱うようになった店もある。昨年には庄内の伝統料理「むきそば」のレトルト商品を開発。今月初めに東京・白金台で開かれたイベントでは、2日間で試食品を500食提供し、都市部での知名度アップを図った。

 「時代の変遷とともに料理人に求められるものは変化してきている」と、土岐さん。料理人は料理を提供するだけではなく、食材が持つ魅力や物語を伝える「セールスマン」としての役目も期待されている。「料理や食材を通じて関心を持ってもらうことが大事。まだまだこれからだが、庄内に足を運んでくれる人も増えている」と、手応えを感じている。

■職業さまざま
 地魚の消費拡大に向けたリーダーの養成も進んでいる。07年度から認定が始まった「庄内浜文化伝道師」。筆記試験や調理実技試験を経て選ばれ、13年度までの認定者数は245人に上る。料理教室を開いて若年層に料理文化を披露したり、県内外のイベントに参加したりして輪を広げている。

 伝道師の職業はさまざま。料理人をはじめ、主婦や漁師、スーパーの鮮魚担当者など多岐にわたる。「多彩なラインアップを生かしたネットワークを構築したい」と、庄内浜文化伝道師協会の石塚亮会長。目指すは地魚のことなら食べ方の紹介から流通の担い手まで何でもこなせるスペシャリスト集団だ。

 庄内浜の魚は新潟、金沢などの市場に流れる傾向にあり、本県内陸への流通量は全体の2割ほど。よりパイプを太くするために必要となるのが庄内浜ブランドの確立だ。石塚会長は「外への発信だけではなく、中身が進化しないと魅力は生まれない」と強調。「庄内浜の魚にはストーリー性があり、庄内と山形をつなぐことができる」と期待を込める。

 奥田シェフは力強く断言する。「世界各国の食の都を訪れたが、山形ほど食材がそろっている場所はない。山形は選ばれし地として食をもっと推した方がいい」。食を通じて都会の目は確実に山形を向き始めた。食の都として全国、そして世界へと羽ばたく日を夢見て料理の腕を振るい続けている。

(「挑む 山形創生」取材班)
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