挑む、山形創生

第6部食で呼び込む(5) ご当地グルメ

2016年07月24日
2014年の「B―1グランプリ」で、かすり衣装を着た谷地高生らが来場者をもてなした「かほく冷たい肉そば研究会」のブース=福島県郡山市
2014年の「B―1グランプリ」で、かすり衣装を着た谷地高生らが来場者をもてなした「かほく冷たい肉そば研究会」のブース=福島県郡山市
 地域を代表する味。かつては高級で旬の食材が真っ先に挙がっただろう。近年はどうか。本県ならば、芋煮や各地のラーメンを思い浮かべる人が多いかもしれない。「ご当地グルメ」は今や地域振興に不可欠な存在になった。

■知名度ぐっと
 火付け役となったのが「B―1グランプリ」。その2014年郡山大会(福島県)で、河北町のNPO法人かほく冷たい肉そば研究会が入賞した。出場59団体中、8位。テレビ番組や若者向けのファッション誌などに取り上げられ、町の知名度はぐっと高まった。

 「地方の小さな町を観光の目的地にすることは、とても難しい」と理事長の逸見朋愛(ともえ)さん(40)は指摘する。サクランボの産地、紅花の歴史といった観光資源があっても、周辺市町や全国各地との競争の中で埋もれてしまうという。そこで注目したのが肉そばだった。

 地元の味をいかにして外部に伝えるか。「大切なのは地域の愛着だ」と逸見さんは話す。料理教室を開いたり、「子どもPR大使」を任命したりと、食育の企画を展開。インターネットを使って肉そばを売り込む口コミ会員を募るなど、町民を巻き込んだ仕掛けを続けている。

 古くから鶏モツを食べる食文化があった新庄・最上地域。人気のとりもつラーメンにヒントを得て、生み出されたのが「とりもつバーガー」だ。考案者の坂本健太郎さん(38)=新庄市、県職員=は「ご当地グルメで、鶏モツ文化を次世代に伝えるコンテンツの一つでもある」と語る。

 とりもつバーガーは鶏モツを鶏ひき肉に混ぜてハンバーグにし、長ネギ、メンマと共にパンにはさんだ。坂本さんは有志団体「もつラボ」を結成。最上地域を中心に県内各地のイベントに出店して販売している。

 ただ、県内全域で人気が定着するまでには至っておらず、坂本さんは「そこが郷土料理と、とりもつバーガーのような創作料理の違い」と語る。古くから日常的に食べられてきた郷土料理は認知度が高いが、後発組の創作料理は地元への定着に時間がかかる。ご当地グルメと位置付けられるにはハードルが高い。

 坂本さんもかつて「B―1グランプリ」出場を目指したが、今はとりもつバーガーを「鶏モツ文化を発信する道具」と位置付ける。少しずつでも、できる範囲で地道に提供し、食文化を次世代に受け継ぐ。その食文化がいずれ、街おこしにつながるかもしれない。

■ツールの一つ
 「B―1グランプリ」を立ち上げた八戸せんべい汁研究所所長の木村聡さん(52)=青森県八戸市=は「B―1グランプリは、その土地の良さを知ってもらうツールの一つ。食べ物を通じて情報を発信し、いかにその地域に行ってみたい、食べてみたい、何かを体験したいと思わせるかが大事だ」と説明する。

 研究所は12年の第7回大会でゴールドグランプリを獲得。八戸市の観光入り込み客数は02年の380万人から、14年には687万人と2倍近くに伸びた。木村さんは「いろんな要素があったからだとは思うが、B―1グランプリを通じた八戸せんべい汁の情報発信もその一因だと思う」と分析している。

 八戸市出身で、木村さんとも交流のある東北芸術工科大企画構想学科教授の関橋英作さん(67)は地域の食のブランディングについて「ブランディングは消費者の心の中で育つ、心理学に近いマーケティング手法」とし「地元の人が、そのエリアにしかないものについて新しい価値を付け、それを発信することにより口コミでどんどん情報が拡散していく。そのためには自分たちの地域を知り、大好きになることが出発点」と言い切る。「地元の人が普通に食べていたせんべい汁なんて、そんなもの特産品になんねぇだろうってみんな思っていたんだから。最初は」
(「挑む 山形創生」取材班)
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