挑む、山形創生

第10部人を呼び込む(1) 県都の新たな試み

2016年12月06日
県内各地から10の祭りが集まった「まるごと山形祭りだワッショイ」。多くの観光客が集まり、新たな観光資源となるポテンシャルの高さを示した=10月1日、山形市旅篭町
県内各地から10の祭りが集まった「まるごと山形祭りだワッショイ」。多くの観光客が集まり、新たな観光資源となるポテンシャルの高さを示した=10月1日、山形市旅篭町
 暑さが残る10月上旬。爽やかな青空が広がる県都に花笠が舞い、みこしを担ぐ大人たちの威勢の良い掛け声が響く。山形市中心部で初開催された「まるごと山形祭りだワッショイ」。沿道は大勢の観光客らで埋まり、華やかな集団が通るたびに歓声を上げたり、カメラで熱心に撮影したりしていた。山形市内の女性(38)はパレードを眺め、笑顔を見せた。「まるで東北六魂祭のような雰囲気だ」

■にぎわい再現
 近年、外から人を呼び込む観光資源として「祭り」が注目を集めている。東日本大震災からの早期復興を願い、東北6県の夏祭りが集結した東北六魂祭の盛り上がりは記憶に新しい。2011年から各県庁所在地が毎年持ち回りで開催し、山形では14年5月に開かれた。2日間で約26万人の観光客を集め、経済波及効果は25億円に上った。来店客数、売り上げが山形花笠まつりの2~4倍になる飲食店もあった。

 あのにぎわいを再現しようと、新たに生まれたのが「まるごと山形祭りだワッショイ」。山形まるごとマラソンの前夜祭として開催され、県内各地から10の祭りが結集した。各団体が山形メディアタワーの西側道路約250メートル区間の両端から同時にスタートし、30分ほどかけて練り歩いた。観客の目の前で花笠まつりの踊り手たちと、新庄まつりの山車(やたい)が交錯するなど、これまでにない光景が繰り広げられた。

 観衆は目標と同じ3万人(主催者発表)。祭りに出演した「ながい黒獅子まつり」の関係者は出番が終わった直後、「沿道に人が多く、いつもとは違う場所なので新鮮さがあった。次があるならまた参加したい」と充実した表情を見せた。

■継続に前向き
 好評価の一方、「一つ一つの祭りをもう少し長く見たかった」といった意見も。実行委事務局を務めた山形商工会議所の担当者は「会場のスペースに限りがあり、見せ方に工夫が必要だった」と話す。また告知不足を課題に挙げ、「もっと早くからPRしていれば、より多くの人が集まったかもしれない」とさらなる集客に期待を込める。来年の開催については未定としつつ、「周辺の商店街にも波及効果があったと思う。今後も続けていければ」と前向きな姿勢を見せた。

 県の統計によると、15年度の県内の祭り・イベントの観光者数は756万3900人。単純計算で本県の人口の約7倍に上る。このうち、最多が山形花笠まつりの98万人で、新庄まつりの51万人が続く。

 人口減少が進む中、短期間で高い集客力を誇る祭りは、交流人口の拡大に欠かせない。複数の祭りが一つとなることで相乗効果を生んだ「まるごと山形祭りだワッショイ」は、県内各地の特色ある祭りが工夫次第で大きな集客効果を発揮することを示した。

   ×    ×

 本県の観光者数は、調査を開始した1963(昭和38)年度が1384万9900人だったのに対し、直近の2015年度は4490万4300人にまで拡大している。宿泊、小売り、飲食など幅広い業種に波及効果があるとされる観光産業。国内市場はもとより、近年はインバウンド(海外からの旅行)の拡大が注目を集める。人を呼び込み、また来てもらうためには何が必要か。第10部は地域経済の起爆剤になり得る観光振興に焦点を当てる。

(「挑む 山形創生」取材班)
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