県内、特殊詐欺の実態~闇に迫る

第1部[3]・電話のだまし役「かけ子」の手口

2015年10月24日
 特殊詐欺で電話をかけてくるだまし役は「かけ子」と呼ばれる。その手口は巧妙かつ、多種多様。被害者の多くは、特殊詐欺の存在を知りながらもだまされてしまう。次のやりとりは今年8月、県内の80代女性宅にかかってきた通話記録の一部だ。

 犯人 それ(現金)どちらで借りてきたんですか?

 女性 (自宅の)裏にある本家から借りてきました。

 犯人 一つだけ覚えておいていただきたいのは、くれぐれも○○さんね、自分で考えて行動するのだけはやめてください。

 女性 そうですか。

 犯人 私がちゃんと裁判所から指示を受けてますから、勝手な行動はやめてください。

 女性 はい。

 犯人 まだ○○さんの被害届は取り下がったわけじゃないから、和解取れるまでは、くれぐれも気を付けて動いていただきたいんですよね。何かあってからじゃ遅いですから。電話で確認してから、動いてもらいたかったんです。

 女性は事前に警察に通報、要請を受けて「だまされた振り作戦」に協力し、犯人と話している。県警から提供を受けた音声を、女性の声を加工して本紙ホームページ(http://yamagata-np.jp/)で公開している。

 だましのストーリーはこうだ。女性宅に「ある会社」から風力発電事業の資料が届いた。その後、女の声で「○○さん名義で3千万円分の株を買った」と電話があった。さらに、弁護士を名乗る人物が登場し、株購入が元で裁判沙汰になったと、あたかも女性に否があるような話をしてきたという。その上で「裁判所」や「和解」といった言葉をちりばめ、訴訟関係費用と思われる100万円を要求。ここで話している犯人は弁護士役の男だ。

 犯人の声はやや高く、比較的若い男だろうか。なまりはなく、ソフトな語り口。弁護士が似合いそうな知的な印象を受ける。「お昼食べましたか」と女性を気遣う場面もある。一方で「勝手に行動しないでほしい」との言葉を繰り返し、相手を操ろうとする意図が透けて見える。

 「かけ子」は闇のルートで手に入れた名簿や、「道具屋」が用意するレンタル携帯電話を使う。現金受け取り役の「受け子」とは完全な分業体制で、かけ子の拠点はつかみにくい。アジトを中国に設けるケースもある。

 電話口に息子、孫、市役所職員、弁護士、警察官などが登場し、金にまつわる話が出たら要注意だ。今回の犯人は、女性が上京できないと伝えると「また電話する」と言い、連絡は途絶えた。ただ会話の中で、犯人の声色が変わったように感じる場面があった。

 女性 100万円借りてきました。

 犯人 100万円借りてきたんですかー。

 うまくだませると思ったのだろうか、思わず声が上ずったようだ。電話一本で数百万、時には数千万円を詐取する悪行。詐欺師は受話器の向こうで笑っている。
(特殊詐欺取材班)
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