県内、特殊詐欺の実態~闇に迫る

第2部[下]・犯人追う県警 根幹断つ、執念の摘発

2016年01月26日
大都市で犯人の居場所を突き止めるのは容易ではない。捜査員は立ち回りそうな場所、例えば駅などに立ち、相手の姿を捜す(写真はイメージです)
大都市で犯人の居場所を突き止めるのは容易ではない。捜査員は立ち回りそうな場所、例えば駅などに立ち、相手の姿を捜す(写真はイメージです)
 全国各地の高齢者をだまし、まるで一つのビジネスのように巨額の犯罪収益を上げる詐欺グループ。県内の昨年の被害額は約2億円、全国では500億円を超えた年もある。県警の特殊詐欺専従の捜査員は「被害を止めるには、根幹を断たなければならない。大事なのは摘発への執念だ」と語気を強める。

 犯行グループの多くは東京などを足場にしているため、県警も捜査の舞台を移す。「広域追跡捜査班」と呼ばれる特殊詐欺専従のチームを首都圏に常駐させ、日夜、大都市に潜み姿を見せぬ犯人を追っている。

 一朝一夕に結果は出ない。ビジネスホテル住まいで、1年間のほとんどを首都圏で過ごす捜査員もいる。少ない手掛かりを基に犯人の潜伏先を割り出さなければならない。駅の出入り口などに立ち、膨大な人の往来を一日中、見続けることもある。所在を突き止めるのに1年かかった容疑者もいたという。

 相手を割り出して尾行したとしても、普段とは勝手が違う。土地勘のない東京の人混みに紛れられたら、あっという間に見失う。相手の行動はそう簡単に予測できないという。一瞬たりとも見逃さない集中力が必要になる。

 幾多の現場を踏んできた専従捜査員が、あるエピソードを教えてくれた。

 「尾行していた人物が雀荘(じゃんそう)に入ったんだが、全然家に帰らない。相手は三日三晩こもりっきりだった。こっちは、気付かれないように雀荘を72時間ずっと見ていた」

 詐欺グループは警察を警戒し、住む場所や携帯電話を次々と変える。組織の末端にいる受け子やその勧誘役を捕まえても、最も摘発すべき中枢人物にたどり着くのは難しい。人のつながりを断つ工作を徹底するからだ。さらに、暴力団や外国人の犯罪組織から小遣い稼ぎの中学生や高齢者まで、関わる人間も幅広い。

 逮捕の現場には危険も付きまとう。ある暴力団員をコインパーキングで取り囲んだ際、相手は暴れて捜査車両の窓ガラスを蹴破った。覚せい剤を持っていた。現場が相手の自宅だったら、包丁を突き付けてきたかもしれない。どの場所で、どのタイミングで勝負をかけるか。状況を正確に読む力が求められる。

 県警は昨年、過去最多となる容疑者34人を摘発した。同規模の他県警と比較しても、高い成果を上げている。

 「財産を奪われた人の無念を晴らすために、体力と知力を結集し、足を棒にして捜査している」。専従捜査員が強調する。「被害者を出さずに、加害者もなくす。急にはできないかもしれないが、一歩一歩近づきたい」
(特殊詐欺取材班)
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