県内、特殊詐欺の実態~闇に迫る

第3部[下]グループナンバー2の元少年 被害者の思い、考えず

2016年02月13日
受け子グループナンバー2の元少年は、この路地の先のアパートに潜んでいた。ごく普通の住宅街だった=横浜市
受け子グループナンバー2の元少年は、この路地の先のアパートに潜んでいた。ごく普通の住宅街だった=横浜市
 民家やマンションが密集する横浜市内の住宅街。この一角のアパートに、県警が追っていた容疑者が潜んでいた。11日に逮捕された受け子グループ主犯格に次ぐ、ナンバー2の元少年(20)=詐欺罪で公判中=だ。

 市営地下鉄の駅前通りから路地に入り、学校や小さな商店を過ぎると、車1台がやっと通れる道幅になった。小路の角に、そのアパートはあった。詐欺グループが元少年のために用意したという。すぐに住まいを変えられるからか、短期契約の物件だった。

 休日の昼とあって、近くの公園には子どもの歓声が響き、民家では洗車や日曜大工に励む父親の姿があった。潜伏先という言葉を裏切るような、平穏な日常しかなかった。

 アパートのすぐ近くに住む高齢の女性に、元少年のことを尋ねた。「オレオレ詐欺の犯人? 全然知らない。若い人の顔は分からないわよ」。女性の知人にも詐欺の電話がかかってくると言う。「息子の同級生名簿まで調べられている」と驚いていた。

 元少年は昨年10月に逮捕された。県内外の高齢者6人からオレオレ詐欺で計1600万円をだまし取ったとして、起訴されている。

 犯行当時19歳ながら、受け子を管理し、詐取金を回収する役割だった。受け子の勧誘なのだろうか、元少年は短文投稿サイトに「いまから至急うごけるやついない?」「誰か俺としごとしね? ニート連絡ね!」などと書き込んでいた。

 元少年は初公判で、起訴内容を認めた。高校中退後、ホストをしているうちに借金を抱え、詐欺グループに入ったという。3回逮捕され、二十歳の誕生日を留置場で迎えた。証人として出廷した母は「一緒に(成人の)お祝いをしたかった」とむせび泣いた。

 検察官は500万円を失った被害者の心情を読み上げた。「怒りと憤りを感じる。老後の大切な資金を返してほしい」。元少年は被告人質問で、「人の気持ちを考えず、卑劣な行為で傷付けてしまった」と述べた。被害者には謝罪文を出した。

 しかし検察官は、謝罪文で相手の名前を一度間違えたにもかかわらず、別の紙に書き直すことはせず、黒く塗りつぶして書き直した点に触れた。「被害者が読んだらどう思う」と尋ねると、元少年は無言だった。今も本当に被害者の気持ちを考えられているか、という検察官の問いだった。

 求刑は懲役5年。判決は23日に言い渡される。刑務所に行く可能性について聞かれると、元少年はうつむいたまま答えた。「分かっています。覚悟できています」

(特殊詐欺取材班)
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